ミステリアスな一面が失われる心配は?

――国崎さんは世間からミステリアスなイメージを持たれていますが、この本を出されたとなると、そのミステリアスさが失われる可能性があります。そこに抵抗感や不安感はありますか?

国崎 え? ミステリアス? いえ、全然……あ、いやいや、心配です! 心配ですって書いておいてください。

――全然心配じゃなさそう…(笑)。

国崎 いやいや、何言ってるんですか! すごく心配です。「国崎の持つミステリアスな一面が失われるんじゃないかと心配です」「焦る国崎」「気が気じゃない国崎」って書いておいてください。

――わかりました(笑)。ほかにも、おじいさまとのエピソードは人間味あふれる感動的な内容で、このエピソードは特にミステリアスさを失わせてしまうような……。

国崎 あー、それは狙って書きました。

――狙いとは?

国崎 「この人って、おじいちゃん思いなんだ~」と思ってもらいたくて……。「国崎って、おじいちゃん思いでしょ?」と知ってもらいたかったんです。

――やはり、ミステリアスさの行方は正直どうでもいいみたいですね。

国崎 いやいや! 何を言ってるんですか、記事内に注釈で“「出版して大丈夫なの?」「イメージが変わりませんか?」と執拗に尋ねる国崎”って書いておいてください(笑)。

▲「イメージが変わりませんか?」と執拗に尋ねる国崎って書いておいてください(笑)

基本的にはみんな働きたくないだけ

――『へんなの』では文字を大きくしたり、絵文字を使ったりなどの工夫が見られました。

国崎 あまり本を読むのが得意じゃないんですよね。文章を読み進めると、ページの中盤くらいに目線はあるけど、心はまだ文頭にある……みたいな。

――なるほど、国崎さん自身が飽きないような仕掛けになっているんですね。これだと、読書が苦手な人もスラスラ読めそうですね。

国崎 そうですね、僕自身も本が読めない子どもだったので、ぜひ子どもたちに読んでほしい。学校の図書館に置いてほしい!

――ラストに掲載されている漫☆画太郎さんの漫画、なかなか過激な内容なので学校には置けなさそうな……。

国崎 (笑)。そうなんですよね。この本は有害図書なんです。

――「彼らは辞めません。みんな、『働きたくない』からです。働いて、ミスして怒られたりするのが嫌だからです。朝早く起きるのが、絶対に嫌だからです」と地下芸人さんの心境を書かれていた箇所がとても印象に残りました。国崎さんも昔から「働きたくない」というモチベーションで活動していたのですか?

国崎 そうです。地下芸人に限らず働きたくないから、みんな芸人をやっています。「ゲームして、ゴロゴロして過ごしたい」っていうのが本音。だから、井口くん(ウエストランド)とか本当に今の時期は大変だと思います。

――「自分の面白さを証明したい!」みたいな熱い気持ちは……。

国崎 そういう人もいるかもしれませんが、基本的にはみんな働きたくないだけ。M-1で熱く漫才を語ったり涙を流したりしているけど、あれは嘘です。書いてください、「M-1は嘘」って(笑)。

――「漫才師=カッコイイ」っていう風潮が揺らぎそうですね。

国崎 その風潮に乗っかっているだけです。そっちのほうがお金になりそうだから(笑)。

▲地下芸人に限らず基本的にはみんな働きたくないだけです