WBCとシーズンのMVPダブル受賞の期待が高まる好スタート

メジャーリーグも開幕してから1週間以上が経った。今シーズンから新たに吉田正尚や千賀滉大、藤浪晋太郎が夢の舞台に挑戦している。

吉田は反対方向の打球にも関わらず、グリーンモンスターを超えるメジャー初本塁打を放った。千賀は持ち味の「お化けフォーク」を活かし、デビュー戦から2連勝を飾った。また、トミー・ジョン手術から復帰した前田健太は、勝ち星こそはついていないが、良い内容のピッチングを見せている。

今年も多くの日本人選手の活躍が注目されるなかで、最も期待されているのは、やはりWBCで文句なしのMVPを獲得した大谷翔平だ。今シーズンも中心選手として活躍を見せている。

投げては開幕投手を務め、防御率は驚異の0点台(0.47)。本日4月12日も7回を1安打無失点のピッチングを見せた。WBCの疲れも影響し、本調子から程遠いピッチングではあるものの、メジャートップクラスの速球とスイーパーを活かして抑えている。このスイーパーは今年のピッチングの割合で、46.1%を記録している。被打率に関しては.100とほとんど打たれていないため、要所で使えるボールとして重宝される。

▲速球とスイーパーを駆使して打者を抑えている 写真:AP/アフロ

次いで投げられているストレートの割合は、27.0%を記録しており、大谷のピッチング割合では、スイーパーがどれだけ投げているかがわかる。大谷の場合、スイーパーを決め球にしながら、カウントも取れているのも打者を抑えられている一つの要因だろう。

WBCの決勝のアメリカ戦でマイク・トラウトから三振を奪ったスイーパーは、87マイル(約140キロ)であったことも紹介された。

大谷が投げるスイーパーの特徴は、曲がりの大きさと球速を兼ね備えていることだ。さらに、横方向の変化量は平均で18インチ(約45.7センチ)で、これはホームベースの幅17インチ(約43.2センチ)よりも2センチ大きい。

そのうえ、平均球速は84~85マイル(約135.2~136.8キロ)で、MLB平均の81~82マイル(約130.4~132キロ)より5キロほど速い。

この大谷のスイーパーは、MLB公式がメジャー最強の球種2位にランクインしており、メジャーでも認められる球種なのがわかる。下記がランキングである。

◆MLB公式による失点を防いだ球種トップ4

1位 ディラン・シース(ホワイトソックス)のスライダー
2位 大谷翔平(エンゼルス)のスイーパー
3位 サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)のチェンジアップ
4位 ジャスティン・バーランダー(メッツ)の4シーム

また、奪三振率も11.37と高い数字を記録しており、ピンチの場面で三振が欲しいときに、しっかりと三振で抑えている。

どのような状況においても、試合をしっかりと作り、リリーフ陣につないでいるところを見ると、まさにエースの名に相応しいピッチングを見せている。

昨シーズン、サイ・ヤング賞の争いでは惜しくも4位となったが、今年はサイ・ヤング賞獲得も夢ではない。