マネージャーの素行不良列伝

だが、残念ながらHのように芸人に寄り添ったマネージャーばかりではない。

連絡をしても、全然返事が返ってこないマネージャーもいた。大勢の芸人を1人で見ているからしょうがない場合もあるが、ただズボラなだけということも多い。

キャバクラのボーイをやったことある俺からすると、芸人とマネージャーはキャバ嬢とボーイの関係性が理想だ。キャバ嬢に機嫌よく仕事してもらうには、ボーイの気遣いやアフターケアが欠かせない。

悪いマネージャーもたくさん見てきた。東京から名古屋まで新幹線に乗らず、夜行バスで向かって、浮かしたお金をポケットに入れてるマネージャーもいたが、これはまだかわいいほうだ。

事務所名は言えないが、あるマネージャーはとにかく金にセコかった。たとえば、40人ほどの芸人が参加した打ち上げでのことだ。会費を3000円ずつ集められたのだが、出てくる料理がフライドポテトや乾き物だけ。

おかしいと思った俺は、みんなが店を出たあとレジに行って「今日は1人いくらのコースですか?」と尋ねると、「2500円のコースです。いつもありがとうございます」という答えが返ってきた。

つまり、金がなくてピーピーいってる芸人から、1人500円ずつ抜いて懐に入れていたのだ。ちなみに、このマネージャーは他にも余罪があったようで、後日事務所をクビになって芸能界から追放されている。

担当する女性タレントに手を出してクビになったやつもいた。

ある大手事務所では、タレントとマネージャーが仲良くなり過ぎて独立して個人事務所を作ってしまうのを防ぐため、必ず何年かに一度は担当マネージャーを変えると聞く。