天狗マネージャーが芸人を殺す?

芸人が「どうしてもやりたくない」と思った仕事を、相手にカドを立てずに断るのもマネージャーの仕事のひとつだ。これも本当にありがたい。「事務所がNGなんで」「マネージャーがNGと言ってて」と言えば、それが断る立派な理由になる。

当然、その分の手数料はギャラから引かれる。フリーだとギャラは全部そのまま貰えるが、それらのリスクや手間を全部自分で背負わなくてはならない。どちらにもメリット、デメリットがある。

よく芸人が売れると天狗になると言うが、マネージャーだって天狗になることもある。たとえば、売れっ子タレントを担当しているマネージャーに嫌われると、そのタレントを使わせてもらえないから、機嫌を損ねないように、あるいは嫌われないように業界の人がヘコヘコすることがある。

そうなるとマネージャーも勘違いをする。「そんな仕事うちの〇〇にはやらせられない」「もっとギャラ上げないと動かせない」など、言ってることは間違いないのだろうが、上から目線で相手に接するようになり、業界の人から敬遠されるようになる。そのうち、タレントの評判まで悪くなり、結果的に仕事が減ってしまうこともある。

事務所、マネージャー、タレントは持ちつ持たれつの関係だ。どの立場にも上下はないと思っている。3者でしっかりと手を組んで、売れるために同じ方向を向いているのがいい関係だと思う。

これまで、自分が売れないことを事務所やマネージャーのせいにしている芸人を山ほど見てきた。全ては自分の実力なのだが、そうは思いたくないから事務所のせい、マネージャーのせいにするのだ。

大事なのはタレント自身が、マネージャーが売りたくなるような実力と魅力を身につけること。そうしたら、事務所もマネージャーもどんどん売り出してくれる。

うまくいく時は周りの人のおかげ、うまくいかない時は自分のせい。俺の周りの売れた人は、みんなその謙虚さを持っている。

俺もその心がけだけは忘れないようにしたい。たとえ死ぬまで売れなくても、中身だけはずっと一流でいたい。そう思っている。

(構成:キンマサタカ)

『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回4/28(金)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする47歳。Twitter:@TAIGAtrendy