モグライダーのめちゃくちゃな姿も見てほしい

――この本には、「こうちゃんライブ」のメンバーを中心に芸人仲間とのエピソードも多数登場しますが、伊藤さんにとって彼らはどんな存在ですか。

伊藤 仲間というか、友達ですかね。何かあったら来てくれる大事な存在です。みんな売れてほしいです。

――特に世間から見つかってほしい方はいますか。

伊藤 みんなで売れたいですけど、強いて言うなら本田らいだ〜△さんとかですかね。

――「モグライダーさんはきっとすぐにはちゃめちゃに売れちゃうから」と書いていましたよね。モグライダーさんは2021年にM-1決勝へ進出し、それから多くのメディアで大活躍ですが、改めてこのエピソードを読み返していかがでしょうか。

伊藤 やっぱり間違ってなかったんだと思いました。あのときのM-1のネタもすごく面白かったんですけど、その次の年の準々決勝のモグライダーのネタも、みんなに見てほしいですけどね。結構スベってて(笑)。そういうめちゃくちゃな姿も、もっといろんな人に見てほしいです。

――2021年のM-1では、モグライダーさんを始め、一緒にライブシーンを盛り上げてきたメンバーたちと決勝へ進出しましたが、そのときの決勝はいかがでしたか。

伊藤 やっぱり、あのメンバーで決勝に行けたのはうれしかったですし、なにより楽しかったです。

▲THE SECOND敗退翌日にも関わらず、真摯に取材に答えてくれた

国ちゃんは本当のエンタティナーですよ

――M-1についてのエピソードは、2021年以外の年でも登場しますが、伊藤さんにとってM-1の存在はやはり大きかったですか。

伊藤 でかいですね。一回戦で落ちてるようなときから思いは強かったです。M-1チャンピオンの称号はもう二度と手に入らないから、今でもその存在は大きいです。

――チャンピオンを目指している日々は、どんな心境だったのでしょうか。

伊藤 ツラいとかはあまりなくて、ずっと楽しかったです。このままチャンピオンになれたらいいな、と思いながらやってました。

――芸人さんのなかには、M-1の出場資格がなくなると「やっと賞レースにこだわらず自由に漫才ができる」とおっしゃる方もいますが、そういう気持ちはありましたか。

伊藤 ずっと「受け入れてよ!」みたいな感じだったので、あまりそういう気持ちはなかったですね。本当なら一個も国ちゃんにツッコみたくはないんで、自由にやってるときのほうが楽しいは楽しいですけど、やっぱりチャンピオンは目指していたいです。

――では、芸歴16年以上の人が参加できるTHE SECONDの開催が、M-1ラストイヤー終了後すぐに発表されたのも、ランジャタイさんにとってプラスでしたか。

伊藤 そうですね。ラッキーみたいな感じでした。SECONDがあって良かったです。

――そこまでチャンピオンにこだわる理由は?

伊藤 なんでしょうね。とにかく一回、チャンピオンになってみたいんですよ。きっと、なれたらなれたで“こんなもんか”と思って、どうでもよくなるんでしょうけど、まだ手に入ってないから手に入れてみたいんです。どうでもよくなっちゃうんだったら、手に入らないほうがいいのかもしれないですけど。

国ちゃんは“チャンピオンなんてどうでもいい”と思ってるかもしれないですね。もはや、チャンピオンを目指すとかも考えていないと思います。ただ自分が好きなことをやれたらいいんじゃないですかね。僕は自分の気持ちを見せることしかできないのに、あの人はどんなに悔しくても本当の気持ちは見せない。エンタティナーですよね。