カズレーザーの自宅に配達
その一方で、イヤな思いをすることも多い。ウーバーイーツの配達員を下に見ている店員などがいい例だ。
ウーバーイーツの配達員は、店に着くと商品の注文番号を店員に伝える。普通だったら「ウーバーイーツでーす」と入っていくと「番号お願いしまーす」と返ってくるが、なかには「番号!」と怒鳴りつけるように言う店員もいる。
なんでそんな言い方をされなければならないのかわからないし、そもそも「番号!」って受刑者じゃないんだから。何も言わずテーブルに置いてある商品を指差して「それだ持ってけ」とアゴで指図する店員もいた。
届けた先のお客さんでも、少しでも遅れると「おせーよ」と言わんばかりに商品をむしり取るお客さんは、やはり気分のいいものではなかった。あるいは、配達途中にメッセージが届き「コンビニでタバコも買ってきてもらえますか?」なんて、俺たちを使いっパシリだと思ってるような失礼な客もいた。
レアな経験では、派手なランジェリー姿で出てくる女性客もいて、目のやり場に困ったこともある。あれはもしかして誘惑されてたのだろうか。あるいは企画モノのAVだったのかも。
知り合いの家に届けたこともある。置き配だったのでお会いしてないが、伊集院光さんの家に届けたことがあったらしく、後日、伊集院光さんのラジオで「ウーバーイーツを頼んだら芸人のTAIGA君が届けてくれてた」と喋ってくださっていたと聞いた。
笑ったのは、事務所の後輩カズレーザーの家に届けたことだ。もちろんウーバーイーツは指名制ではないので、たまたまそうなったのだが、カズの家には何度も行ってるので、マンション名と部屋番号を見ただけですぐにわかった。インターフォンを鳴らしたら、ルームシェアしてる芸人が驚いた顔で出てきた。
「TAIGAさんだ!」「上がってってください!」「どうせだったら食べていってください」
そのまま自分が配達したパスタをカズレーザーたちと一緒に食べることになったが、俺のおかげで足りなくなってしまったのが申し訳なかった。どうせだったら追加オーダーをして、もしまた俺のスマホが鳴ったら、それは面白いなと思った。
一番ラッキーだったのは、あと一件で最後の報酬がもらえると待機していたときにやっと注文が入ったと思ったら、配達先が我が家だったときだ。
きっと俺のことを心配して嫁が注文してくれたのだろう。俺が運んだマックを食べて、二人でおいしいねと笑い合った。
芸人と同じように、デリバリーサービスは、人に笑顔を運ぶ仕事なんだと思った。俺は今日もそんな仕事を続けている。
(構成:キンマサタカ)