「ネオ無職」「酒飲み独身女」などのパワーワードと共にYouTube界に登場した酒村ゆっけ、さん。ご飯を食べながらお酒を飲み、酒村さんの独特な世界観あふれる食レポ、トークを聞けるYouTubeチャンネル「世界一のゆっけ」は、登録者数95万を越え、100万人目前となっている。

酒村さんは作家としても活動しており、エッセイ『無職、ときどきハイボール』(ダイヤモンド社)、小説『酒に溺れた人魚姫、海の仲間を食い散らかす』(KADOKAWA)を出版。さらに、2022年3月2日に1stEP『ほろよいミッドナイト』をリリースし、アーティストデビューも果たすなどマルチに活躍中だ。

さらに、今年の3月14日に発売された『コミックアルナ』(KADOKAWA)4月号から、自身の小説を漫画化した『酔いとゆくすえ~酒村ゆっけ、小説コミカライズ短編集〜』の連載が始まった。漫画家・夜の羊雲氏が、酒村さんの世界観を忠実に再現している。

ニュースクランチのインタビューでは、自身の初小説が漫画家された心境や新作の予定、現在のスタイルでYouTube動画を撮影するに至った経緯などを聞いてみた。

酒村ゆっけ、

ほろ酔いで書いたキャラクターたちが漫画に

――小説が漫画化された感想を教えてください。

酒村ゆっけ、(以下、酒村) 漫画は大好きなんですけど、自分は絵を描くことができないので、最近まで無縁の世界だなと思っていました。そんなときにKADOKAWAさんから声をかけていただいて、文字しか書けなくても「小説を漫画にすることができちゃっていいんだ!」と驚きました。でも正直、まだ現実感はないですね。

――漫画を見ていかがでしたか?

酒村 絵がつくと視覚的に入ってくるので「このお話は自分が書いたんだっけ?」と現実感がなかったです。そういった新鮮さや「このシーンはこうやって描くんだ!」みたいな、自分では気づけなかった見方を教えてもらいました。

――「こうやって描くんだ」というのは、具体的にどういったところでしょうか。

酒村 小説は登場人物の容姿を想像できないまま書いていたんです。『名探偵コナン』の黒ずくめみたいなイメージです。その部分を、小説を読み込んでイメージに落とし込んでくれたんだと思いました。だから、初めて見たときに「自分が書いた登場人物って、こんな感じだったんだ!」って。

――思い描いていたキャラクター像とのギャップはなかったんですね。

酒村 なかったです。自分の中で「この人はこういう人」っていう確固たるイメージはあまりなかったですし、ほろ酔いで書いていたものをちゃんと形にしていただけて。私の想像していたキャラクターたちはこんな姿だって腑に落ちました。

――本当にお酒を飲みながら執筆されていたんですね(笑)。

酒村 ずっとお酒が入っていたわけじゃなかったんですけど。「こういう話にしよう」っていうプロット部分は、お酒を飲みながらぼーっと考えていました。もちろん、執筆が追い込まれてケツを叩かれているときは、コーヒーやレッドブルを飲みながら書いていました。

――漫画家「夜の羊雲さん」の絵には、どういった印象を持ちましたか?

酒村 実際にお会いしたことがないので、どんな人かわからないんですけど、透明感と儚さ、文学的で見ていると溶けそうになる絵だと思いました。

――酒村さんの世界観と一致していると思いました。ちなみに、新作を出版される予定はあるのでしょうか。

酒村 ありがたいことにお声をかけていただくことが多いのですが、着手できていないまま月日が過ぎ去っている状況です……。ゴールが見えない漠然としていることを後回しにしてしまう自分の悪いところが出てしまって、目の前のことばっかりやってしまっています。でも、今日、ルーズリーフに登場人物の関係図を書いたので、一歩前進しました。

――どういった作品にされる予定ですか?

酒村 昔から趣味でエッセイを書いていて、YouTubeをやりながら3000文字くらい書けるようになり、それの集大成としてエッセイ本を出しました。エッセイを出せたから、次は小説にも挑戦したんですけど、長編は書けないから短編集にして。それも無事にクリアできたので、次は長編小説にトライしています。

今までは「書きたいものがある」ってことがあまりなくて、声をかけてくれた編集者さんと息が合うか、提案を聞いて内容を固めていったんですけど、今回は本当に何もないので自分で決めなくちゃいけないんです。それがようやく決まってきたといいますか、枠組みが決まったので、これで「書いていきましょう」っていう段階に踏み入りました。