どうしても「先のことばかり考えて憂うつな気分になる」「お先真っ暗な気分になる」というあなたは、その「憂うつ」を「悟り」に変えてはいかがでしょう? もちろん「憂うつな未来を甘んじて受け入れる」ことは難しいかもしれません。そうではなく、「その不幸な未来を自分の力で変える!」のです。ここでは、皆さんが「憂うつ」から解放され、自分に対する信頼感を取り戻すコツについて、人気カウンセラー大嶋信頼氏の検証を紹介します

※本記事は、大嶋信頼:著『憂うつデトックス』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

不幸な自分の未来がハッキリ見えてしまう・・・

私が憂うつな気分になっている時は「周りの人と比べて自分は何も成し遂げられていない」と思い悩んでしまいます。私以外の人たちは、友達もたくさんいて職場の同僚や上司などとも仲良くやっていて、プライベートや仕事も充実している。家に帰れば幸せそうな家族がいて、家族から尊敬されていたりします。

でも、自分は友達もいないし、職場の同僚からは馬鹿にされていて、一緒に仕事をやっていても「ただ自分は、みんなからいいように利用されているだけ」と惨めな気持ちになってしまう。

一生懸命に働いたってお金はちっとも貯まっていないし、このままお金が貯まらなければ貧乏になって惨めな生活を送ることになる……と将来の破綻がイメージできちゃいます。

ちょっとしたことで仕事を失敗してしまい、そこからお金も家族もすべて失って生活が破綻し、慣れない肉体労働をやりながら身体を壊して、だれからも見向きもされなく人生が終わっていく自分の未来がハッキリ見えてしまいます。

▲不幸な自分の未来がハッキリ見えてしまう… イメージ:PIXTA

「これって私だけなのかな?」とか「私だけがおかしいのかな?」と思っていたのですが、憂うつな気分になりやすい人のお話を聞いていたら「あー、私と一緒なんだ」と気が付きました。

たとえば人の話を聞いていて「まだ起きていない将来のことなんか分からないでしょ!」とか「そんな先のことを考えても仕方がないでしょ!」と突っ込みたくなる場面があると思います。

でも、私自身が憂うつな気分になっている時を振り返ってみると「あ! 同じことをやっている!」と、将来起きるかもしれない不幸を、次から次へと考えて嘆いていたんです。そして、憂うつな気分になっている方の話を聞いていたら「他人が自分と比べて幸せかどうかなんか、分からないでしょ!」と話を遮りたくなります。

でも、私自身のことを考えてみたら確かに「他人は、自分よりも幸せであると確信を持っている」という感覚になっていることに気づいたんです。

人の話を聞いていたら「他人のことなど分からない」とか「未来に何が起きるかなんて知れるわけがない」と常識的に考えられるのですが、自分が憂うつな気分になっている時は「みんな自分よりは幸せ」とか「未来に確実に不幸なことが起きる」という確信があって、そこから抜け出すことができなくなります。

憂うつな気分になって「今を生きる」ことができない

そうなんです、憂うつな気分になってしまう人の特徴は「今の自分」から幽体離脱をしたような感じで「他人の生活」が手に取るように分かってしまう。そして「今の自分」からタイムスリップして、“未来の不幸な自分をリアルに観察する”ことができてしまう能力があったりするんです。

人は「今」という時しか生きていないのに、憂うつな気分になってしまう人は「今」がなくて「過去」や「未来」へと時空を超えた旅をしてしまいます。

そして「今を生きる」ことができないから「今の自分の現状に満足して感謝する」という気持ちが一切なくて「他人の気持ち」を考えて不安になり、そして「他人の幸せそうな生活」と比較して、自分の惨めさを嘆き悲しむ、ということをしてしまいます。

もう一つの憂うつな気分になってしまう人の特徴は「チャンスを逃がす」があります。憂うつな気分になって「今を生きる」ことができなくなってしまった私は、後になって「あの時に、なんでチャンスを逃がしてしまったんだろう?」と後悔してしまいます。

▲憂うつな気分になって「今を生きる」ことができなくなる イメージ:PIXTA

実際に最近体験したことなのですが、ある日、私は「今あるお金をちょっとでも増やすためにゴールド(金)を購入した方が良いのでは?」と考えていました。

しかし「今を生きる」ことができない私は「周りで幸せそうにしている人は、そんなことはしていない」と確信を持っていますから「自分は間違っているかも?」と不安になってしまいます。

「今を生きる」ができない私は未来に飛んで、未来の貧乏になった自分が見えてしまうので「そんなことでお金を使ってしまったら将来、破綻してしまう」と購入する決断ができず、うやむやになっていったのです。

ところが最近、新聞を見たら「ギャ~! あの時と比べたら金の値段が高騰していた!」とショックを受けました。そして「なんで、あの時に決断ができなかったんだろう?」と後悔して、再び目の前にやってくるチャンスを逃がして「どんどん自分は不幸になる」と憂うつな気分になってしまうんです。

私の体験しているこの状態を専門家が診たら「妄想的になっている」とか「憂うつな気分になって、幻想の世界を見てしまっている」と判断されてしまいます。

でも、私からしたら「いや、実際に目の前には不幸なことが起きています!」となっているわけです。だって、実際にチャンスを逃がして、得るべきお金を失ってどんどん自分は不幸になっていくのですから。それは妄想でも幻想でもなくて現実に起こっていること、と訴えても誰にも理解されません。

そうなんです、憂うつな気分になっている人の気持ち、目の前で現実に起きていることは「誰にも理解されないし、信じてもらえない」という特徴があるんです。

周りの人は、私が置かれている現実を全然理解しないで「そんなことを考えてもしょうがない」とか「人と比べたって仕方ない」と言うのですが、それは私が体験しているこの不幸な現実を、実際に体験していないから軽く言えることだと思ってしまうんです。