中国の秘密警察派出所は世界54カ国にある

2023年1月11日、FBIはニューヨークの中国秘密警察拠点とされる場所を捜索した。かねてから疑惑が持たれていたビルの一室で、受付は鍼灸(しんきゅう)師診察所だった(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』紙、2023年1月26日)。具体的な手入れの成果も捜索の日時も明らかにされていない。

この海外における中国の警察派出所は、NY市にあるチャイナタウンの「CHANGLE ASSOSIATION」(米国長楽公会ビル)の一室だった。同公会は在米華人の福建省長楽市出身者の「親睦団体」とされ、おびただしい在米華人の寄付によって運営される非営利団体だ。2021年のNY市長選では、エリック・アダムス(現市長)に4000ドルの献金をしている。

▲エリック・アダムス 写真:Marc A. Hermann / MTA / Wikimedia Commons

このビルの前で中国を糾弾する集会が開催され、対中強硬派のギャラガーら連邦議会下院議員3名が出席した。

スペインに拠点を置く人権団体「セイフガード・デフェンダーズ」によれば、中国の秘密警察派出所は世界54カ国、110カ所に拠点が置かれていて(これまでは53カ国、102カ所と発表されていた)、主に在留華人の監視や観察をしている。

とくに反中国や反習近平を叫ぶ人権活動家、民主活動家を監視している。同報告書によれば、2021年4月から2022年7月までに全世界で2300人の中国人が説得に応じて帰国したとされる。「越境弾圧」、相手国の主権侵害である。

エジプトなどから「帰国」したウイグル人留学生などは、そのまま収容所直行となった経過は多くのメディアや人権団体の調査で判明している。