キツい仕事なんてない
バイトにも変化が現れた。配達先の人から「応援してます!」と声をかけてもらえるようになった。ウーバーイーツの待機中に「サインください」と声をかけられることもあった。道ゆく人はウーバーイーツの配達員がサインしてるから、「カリスマ配達員なのかしら」と二度見して行く。
オードリー若林の声がけから、日テレの『午前0時の森』という番組で俺たちが働いていた「キサラ」の特集が組まれた。「シェイクものまね」というネタが水卜アナにハマり、何度もおかわりがきた。
番組から再びオファーをもらったのだが、MCの若林が体調不良で、まさかMCをすることに。
「どうせドッキリだろう」と思っていたが、最後まで番組は進行し、無事に収録は終わった。ドッキリではなかった。
番組では俺の悩み相談コーナーも始まった。「今までやった一番キツい仕事はなんですか?」という質問に対して、「キツい仕事なんてない。一番キツいのは仕事がもらえなかったこと」という回答がとても反響があったようだ。
番組で存在感を発揮できるようになったおかげで、アメリカのエルヴィス・プレスリーの聖地、メンフィスでも悩み相談をやろうと、海外ロケまで行かせてもらった。生きてるうちにメンフィスに行けるとは思ってなかった。グレイスランドというエルヴィスの家があった場所にも行き、エルヴィスのお墓参りもできた。
そして、この連載の書籍化も決まった。
また一つ夢が叶った。
そのたびに、俺の周りの人たちは喜んでくれる。家族や芸人仲間、300人キャパの会場で8枚しか売れなかったライブを満席にしてくれた友人たち。彼らに恩返しがしたいとずっと思ってきた。
俺の人生には、ずっと夢を後押ししてくれる人たちがいた。俺はそんな仲間のためにも、夢を叶えたいと思う。
(構成:キンマサタカ)