ロシアと日本での“友達”の違いに苦戦

――いつ頃から日本に住んでいるんですか?

サーシャ 2016年に日本に来て、日本語学校で勉強を始めましたが、コロナ禍になってしまったから、一度ロシアに帰りました。2022年の3月に日本に戻ってきましたが、それまではビザも作れなかったです。

――日本に来たときは日本語が話せなかったそうですが、生活に支障はありませんでしたか?

サーシャ あまり文化を知らなかったので、大丈夫じゃないこともありました。みんなに礼をするとは聞いていたので、来たばかりの頃はコンビニへ行ったときも店員さんにお礼をしていて(笑)。店員さんにめっちゃ変な目で見られました……。

――言語での不自由はなかったと。

サーシャ 日本語学校の人たちは、もちろん日本語で話されるので、日本語はすぐに話せるようになりました。日本に来て3カ月目には、バイトを見つけることもできました。ドトールコーヒーで働いていたんですけど、なぜか日本語をあまり話せない私が「笑顔がいいから」という理由で、お客さんからオーダーを聞いてレジを任されたときは驚きました(笑)。

4時に起きて6時から11時までバイト、その後、日本語学校という生活が大変だったので、1カ月しか続けられませんでした。

――かなりハードな生活ですね。日本人の友達はすぐにできましたか?

サーシャ ロシアでベストフレンドになった女性と一緒に来ていたんですけど、その子は半年経ったら韓国に行っちゃったんです。ロシアの友達はたくさんいたけど、日本人の友達はなかなか作れなかったです。

――どういった問題があったのでしょう。

サーシャ たぶん、“友達”の意味がロシアと違ったからだと思います。日本で「遊びに行こう」と言われたら「行く」とは言うけど、来週や半年後の約束で……“今じゃないんだ!”とびっくりしました。それに「また今度」と言われたから、明日会うのかなと思っていたのに、半年間も連絡が来なかったりもしました。

ロシアでの“友達”は、毎日会って遊んでいる人たちをイメージします。ロシアの友達とは1週間くらいずっと、どちらかの家でゲームをしたり、アニメを見たり、ご飯を食べたりしていましたし、友達の家に連絡なしで行くのも普通のことです。

あと、ロシアでは、みんな友達という感覚なので、異性と出かけることも普通です。以前、日本で男友達と2人で遊びに行ったらデートと言われて、ショックを受けました。

日本は、どちらかというとオープンじゃないと思います。もちろん、ロシアもみんながオープンというわけじゃないですが、私の周りにはオープンな人が多かったので、その感覚の違いに戸惑いました。

――それ以外に違いを感じることはありますか?

サーシャ 税金の種類がありすぎるところ。最初「私の給料はどこにいった?」とびっくりしました。ロシアでは、仕事の4%しか税金を取れないんですけど、日本だと「ここから10%、ここから10%、全部合わせるとこんなに……」って感じですよね。

それと、外国人は家を借りるのが難しいです。しかも、家には家具が付いていないから、全部買わないといけません。ロシアでは全部付いてくるんですよ。

 

――では、逆にどんなところが好きですか?

サーシャ 街がきれいで、夜も普通に出歩けるくらい安全なところが好きです。あと、日本の伝統音楽もキレイだと思いました。琴や着物、神社、温泉はめっちゃ好きです。でも、温泉に関しては最初「なんで、みんな裸なの?」って恐怖もありました。

――ロシアに温泉の文化はないですもんね。最初から1人で温泉に行かれたんですか?

サーシャ そうです。泊まったホテルに温泉があったので行ったら、知らない人が裸でいてびっくりしました。最初はどこを見ればいいのかわからなかったし、自分の体を見られないようにしながら入りました。今は慣れたから大丈夫ですが、もっと田舎には男性と女性が一緒に入れる温泉があると聞きました。さすがにそこには入れないと思います。

――今、日本で最も行きたい場所はどこでしょう。

サーシャ 行ったことがないので沖縄に行きたいです。アメリカ村に行ってみたいし、写真でしか見たことないですが、海もキレイなので入りたいですね。今年の夏に行こうと思っています。

――日本の食べ物では何が好きですか?

サーシャ 冷たいきつねうどんや蕎麦、冷やし中華、たこ焼き、お好み焼きが好きです。すき焼きも最高。冬になると家ではすき焼きをしています。

――苦手なものはありましたか?

サーシャ 納豆は食べられますが、梅干しはあまり食べられません。江の島で食べたシラスも少し苦手でした。味は大丈夫なんですけど、目がいっぱいあって生きているみたいで、魚がみんなこっちを見ているようなところが衝撃で……。それでも「おいしくない」という料理はないです。日本の料理は私の口に合います。