人参2本とリンゴ1個の生ジュース

朝食を抜く代わりにぜひとも飲んでいただきたいのが、人参・リンゴジュースです。

私は1979(昭和54)年、スイスのビルヒャー・ベンナー病院でこの人参・リンゴジュース療法を学んできました。

ベンナー病院は1897年にビルヒャー・ベンナー博士という方が開設された病院です。ヨーロッパをはじめ世界中から集まってくる難病・奇病の患者を、食事療法を中心とする自然治癒療法で治療していました。

肉・卵・牛乳・バターなどは一切使用されず、動物性の食物はヨーグルトだけ。他に黒パン・ジャガ芋・ナッツ・生野菜・果物・ハチミツ・岩塩など自然の素材を用いて調理したメニューを提供していました。

そこで毎朝必ず飲まないといけなかったのが、人参2本、リンゴ1個で作られた生のジュースです。私が当時の院長リーヒティ・ブラシュ博士(ベンナー博士の姪)に「なぜ人参・リンゴジュースはそんなに体によいのですか?」と尋ねたところ、

「人間の健康に必要なビタミン(約30種)、ミネラル(約100種)をすべて含んでいるから」という答えが返ってきました。

▲人参2本とリンゴ1個の生ジュース イメージ:PIXTA

米国農務省は以前「我々現代文明人は『栄養過剰で栄養不足』の病気にかかっている」と発表したことがあります。

タンパク質・脂質・糖の三大栄養素を摂りすぎている一方で、それらが体内で利用されるために必要なビタミンやミネラル類は不足しているという意味です。ビタミン・ミネラルは毎日約130種類の必要十分量を摂取しないと、1種類不足しただけでも病気になりやすくなります。

1982年には同じくアメリカで「ガンを防ぐにはビタミンA・C・Eをしっかり摂る必要がある。それには人参が一番大切だ」という発表がなされました。

さらに1990年代にはアメリカの国立ガン研究所がガン予防効果の可能性のある約40種類の食物を、重要度の度合いによりピラミッド方式で示しているデザイナー・フーズ・プログラムを発表しましたが、その最上段にはニンニク・キャベツ・生姜・大豆・人参・セロリが入っています。

そんな薬効あらたかな「人参」と、

 "An apple a day keeps the doctor away."(1日1個のリンゴは医者を遠ざける)

とイギリスで言われてきた「リンゴ」から作られる人参・リンゴジュースの健康増進・病気治癒効果はすばらしいものがあります。

作り方は簡単です。

①人参2本とリンゴ1個を水で洗う
②皮をむかずにジューサーで生ジュースを作る

これでコップ約2杯半の生ジュースができるので、ぜひ朝食代わりに飲んでみてください。

自分なりに調子が良いと感じる「小食」を

朝食を人参・リンゴジュースや生姜紅茶ですませたら、次は昼食です。

昼食はそば・うどんに七味唐辛子やネギ、すりおろし生姜をふんだんにかけて軽く食べるか、パスタやピザにタバスコをかけて食べるのがよいでしょう。

七味唐辛子やタバスコに含まれるカプサイシン、ネギの硫化アリル、生姜のジンゲロン、ショウガオールは血管を拡張して血流をよくし、体を温めて午後の活動の効率を高めてくれます。

なかでも「そば」は8種類の必須アミノ酸を含む優秀なタンパク質、動脈硬化を防ぐ植物性脂肪、エネルギー源となる糖分、ほとんどのミネラル、ビタミンを含む「完全栄養食」なのでとくにお勧めです。

さて、いよいよ夕食ですが、夕食はアルコールを含めて何を食べてもかまいません。この朝食抜き断食法を私は勝手に「石原式基本食」と呼んでいます。

私はこれまで上梓した300冊以上の拙著で例外なくこの石原式基本食を勧めています。そして、それを実践された読者の方から

「半年で体重が15㎏減り、ウエストが20㎝縮まった」
「血圧・コレステロール値が正常値になった」
「糖尿病がよくなった」
「便秘が治った」
「生理痛や頭痛が軽くなった」
「憂うつな気分がなくなった」

など、数えきれないほどの感謝の手紙をいただきました。

▲自分なりに調子が良いと感じる「小食」を イメージ:PIXTA

もちろん、さまざまな事情から断食(朝食抜き)を実践するのが難しい方もいらっしゃると思います。そのような方は私の提案通りのやり方をする必要はまったくありません。

ただ、1つだけ覚えておいていただきたいのは、食事は質よりも量(の少なさ)だということです。食べる量が少なければ、一般的に「体によくない」と言われている食物でも、胃腸が十二分に消化してくれます。

できた老廃物も肝臓・腎臓・白血球がしっかり解毒してくれます。とにかく無理のない範囲で、ご自身が「調子がよい」と感じられる方法で少食を心がけてください。