時代が追いついてきた
しかし、時は流れ、おひとり活動が世の中に認知されてきた今、この風潮にも変化が起きているらしい。
先日、テレビで一般人のカップルが証言していた。
「映画館には一緒に行きますけど、観る映画はだいたい別です。お互いに好みが違うから」
「彼女はスターウォーズ。ぼくは寅さん。観終わったら一緒に帰る」
こ、これはかつて、男が望んでも拒否された形態ではないか!
しかも、この鑑賞スタイルは今や特別なものではなく、若い世代にはそこそこよくある形だという。かつてアホバカタコと罵られた、おひとり属性の高い者が待ち望んでいた未来がついにおとずれたのだ。
夫婦別姓を選択できるかどうかは、法律が整うのを待たなければならない。選択的子供なし、選択的親介護、選択的同性婚、どれもみな難しい問題だ。
しかし、観たい映画くらいはカップルで別々に選択できる自由があっていい。観終わったらお互いに感想を話し合うのではなく、それぞれがスマホで調べてネットの感想を読めばいい。
だから独身のオッサンたちも、今後は堂々と選択的別映画鑑賞を実行しよう。これが拒否されるのはもう過去の話である。
え、そもそも一緒に映画を観るような相手がいない? 知らんがな。オレもいないよ。ひとりで映画館へ行き、妄想の物語の中でこれをやればいい。それが、おひとり達人だ。
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独身中年息子による介護奮闘記。BEST T!MESでも好評を博した「母への詫び状」が、ペンネームだった著者が実名を明らかにし、「介護幸福論」として再スタート。著者は“王様”として業界に名を轟かす競馬ライターの田端到さん。記憶の糸をたどりながら6年間の日々、そこで見つけた“小さな幸せ”を綴っていきます。