2023年、プロ野球の前半戦も残すところ数試合となった。今までの戦いを振り返りながら、優勝争いに絡んでくるであろうチームをみていく。(情報はすべて7月10日時点のものになります)

セ・リーグは阪神、DeNA、広島、巨人の混戦模様

セ・リーグは、現在首位を走る阪神が交流戦から失速気味で、上位4チームの混戦になりそうだ。

各チームのタイプを見ると、総合力・投手力の阪神と、打撃力がある他3チームの構図だ。

阪神は近本光司が2日の巨人戦で右脇腹に死球を受け、右肋骨骨折で戦線を離脱。さらに、クローザーの湯浅京己は6月15日の交流戦オリックス戦で、9回に2被弾を許して敗戦投手になり、16日に出場選手登録を抹消されている状況である。

ただ、湯浅がいない状況でも依然として投手力の高さを見せており、代役でクローザーを務めている岩崎優は7月に入り無失点を継続している。ただ、打線や守備の面で近本の穴は大きくなっていくだろう。

近本の離脱後、佐藤輝明が2軍降格したことも重なり、2得点が最高得点であり、厳しい状況なのは変わりない。早い段階で佐藤を昇格させて、打線に厚みを持たせることが必要になっていくだろう。

投手陣は大竹耕太郎、村上頌樹、才木浩人、伊藤将司の安定感と枚数はリーグトップクラスだ。湯浅が不在のリリーフ陣も、現在は安定している。

2位・DeNAは、開幕直後ほどの打線の迫力は落ち着いてきたが、7月6日のヤクルト戦でトレバー・バウアーが気迫の中4日で完投勝利を挙げてからは、チームの雰囲気はいい。

実際のところ、バウアーのスプリットやパワーカーブをはじめとした投げるボール、組み立ても、5月の頃とは全く異なるため、他球団は攻略するのが非常に難しいだろう。

その次の日の巨人戦では、エース今永昇太が7回15奪三振を記録し、チームに闘志を注入するようなピッチングを見せた。

現在の勢いを含めると、DeNAが一気に上がる可能性は高いだろう。阪神の状況を考えると、ベストなのはオールスターまでにひっくり返すことだが、最悪でも並んだ状況で後半戦に入りたいところだ。

野手の外国人2人は期待はずれのなか、バウアーの魂のピッチングにより、チームが鼓舞されているのは他球団からすると脅威なはずだ。サイ・ヤング賞投手のバウアーが、DeNAを悲願のリーグ優勝に導くかも後半戦の注目ポイントである。

▲サイ・ヤング賞投手のバウアーがチームの鍵を握る 写真:AP/アフロ

現在の広島も、打線の調子が非常にいい。

左打者が並ぶ打線は、春先は秋山翔吾がチームを引っ張り、秋山の調子が落ち着いたかと思えば、西川龍馬を中心に松山竜平や坂倉将吾も健在だ。

また、近年苦しんでいた田中広輔の復活も大きな要因だ。2016〜2018年の黄金期を知るメンバーを中心とした打線は、リーグトップクラスと言っても過言ではない。

さらに、投手陣はクローザーの栗林良吏が苦しんでいるなかで、中﨑翔太や島内颯太郎、矢崎拓也がポジションを確立している。大きな離脱者がないことで、浮上の兆しは見えつつある。

新井貴浩監督も新監督とは思えないほどの手腕を発揮している。

開幕直後から一気に巻き返してきた巨人は、坂本勇人の離脱やここ一番の弱さが露呈しているが、まだまだ優勝の可能性はある。

一気にエースとして成長した戸郷翔征の安定感はもちろんのこと、フォスター・グリフィンの疲れが見え始めた頃に、菅野智之が復活の兆しが見えているのは大きい。

これにより、逆転優勝への望みが微かに見えている状況だ。

投手陣は徐々に調子を上げているなかで、坂本が離脱してから打線が苦しんでいる。今シーズンはロースコアの接戦に弱いことから、逆転優勝には12球団トップクラスの長打力を誇る打線の復調が急務なのは間違いない。

4チームがひしめく混戦のセ・リーグ優勝争いは後半戦も注目である。