パ・リーグは3年連続で最終戦までもつれる可能性も?

パ・リーグは、3連覇を目指すオリックスを中心に3球団が優勝争いを繰り広げられている。

オリックスは吉田正尚がメジャーリーグに挑戦し、補強した森友哉が2度の離脱、福田周平の出遅れ、宇田川優希が本調子ではないなかで、うまく運用しながら勝ち星を積み重ねている。

昨シーズンと同様に若月健矢が捕手としては高い打率を残しており、森が不在のときでもうまくカバーできているのが大きい。

打線全体で見ると、頓宮裕真や紅林弘太郎はキャリアハイに迫る活躍を見せている。

また、茶野篤政も福田が出遅れた穴を埋める活躍を見せており、離脱者が出ても全体的に良い運用ができている状態だ。

打線は開幕から好調を維持しており、チーム打率はリーグ1位を記録している。

投手陣は、春先は打ち込まれる試合が多かったものの、チーム防御率はリーグ2位を記録。山本由伸や宮城大弥の安定した活躍はもちろんのこと、山崎福也はキャリアハイが見込める活躍をしている。

さらに、初の開幕投手を務めた山下舜平大も最近は疲れが見え始めていたが、6月まで無敗を記録するなどの活躍を見せている。

先発陣の防御率は、パ・リーグ1位を記録しており、近年で一番安定していると言ってもいいだろう。

出遅れていたり、離脱者がいながらもチームを首位に導いている監督の中嶋聡氏が、勝負どころを見据えて上手に選手を休めながら運用している部分は非常に大きいだろう。

2位・ロッテは、今シーズンから監督を務める吉井理人氏が素晴らしい采配と運用力を見せている。

上位3チームのなかでは、唯一チーム打率.250以下を記録しており、チーム防御率もほとんど差がない状態で優勝争いをしている。

打撃力で苦しむなか、ブルペンデーをしたり、2人の投手で勝利をしたりと、WBCで日本代表を世界一に導いた手腕の投手運用は頭抜けている。

打線に関しても、調子などを吟味しながら「(打順は)まだいろいろと変わる可能性がある。1~4番も絶対ではない。現状は相手の投手を見ながら(得点の)確率の高い打順を組んでいきたい」とコメントを残すように、毎試合オーダーを変えるほどだ。

一時期は選手のやりくりだけでは埋められなかったが、うまく軌道修正をしているのも大きい。

マネジメントのパターンは、中嶋オリックスと似ている部分はあるが、2021年のようにオリックスとロッテが最終戦まで優勝を争う可能性は高いだろう。

3年ぶりの優勝を目指すソフトバンクは、千賀滉大(現ニューヨーク・メッツ)がメジャー挑戦し、牧原大成や藤井皓哉の離脱があったなかで優勝争いをしている。

ただ、森の離脱などがあるオリックスを一気に突き抜けられないのも、現状の課題である。7月7日から9日までの楽天戦で3タテを食らい、3位にまで下がったのが象徴的だ。

柳田悠岐や中村晃、近藤健介などがいて、打線はリーグでも屈指のレベルだが、監督の能力はオリックスやロッテと比較すると、大きく劣ると言ってもいいだろう。

昨シーズンは最終戦で逆転優勝を許しているが、ソフトバンクが優勝をするには、今の時期からオリックスやロッテに5ゲーム差ぐらいつけたいところだ。

パ・リーグは、オリックスが選手の調子と監督のマネジメント力の部分で一歩先にいるが、上手にやりくりしているロッテとソフトバンクが終盤まで追いかけられるかが、優勝争いのポイントになっていくだろう。

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セ・リーグ、パ・リーグともに複数球団が優勝を狙える位置につけている。オールスター後、混戦を抜け出すチームがあるのか、それとも終盤戦までもつれていくのか……。後半戦の熾烈を極めるであろう優勝争いから目が離せない。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
野球著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』、『坂本勇人論』(いずれもインプレスICE新書)、『アンチデータベースボール』(カンゼン)を出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディア取材多数。最新作は『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)。Twitter:@godziki_55