中高年になると、「昔よりも太ってきた」と自覚する人は多いものです。そんな方がどのような行動を起こすかというと、スポーツクラブやジムに入会したり、ランニングなどを始めたり。しかし、ボディメイクで絶対的な支持を得る森拓郎氏は「ヤセたいなら、今すぐ走ることをやめてください」と言います。その理由とは?
※本記事は、森拓郎:著『ヤセたければ走るな、食べろ!』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。
ランニングはヤセたい人に最も向かない運動
「走ればヤセる」というのは、太り気味の人に共通する大きな誤解です。その証拠に、私は今まで何百回と同じ質問をされ続けてきました。
「やっぱりヤセたいなら、ランニングですかね?」
私はすぐにこうお答えしてきました。
「ヤセたいなら、今すぐ走ることをやめてください。ランニングは、ヤセたい人に最も向かない運動です」
すると質問者は、大変驚きます。そこで私は次のようにつけ加えます。
「あなたはランニングが好きですか? ヤセたいという目的を抜きにして、シンプルに走りたいなら、趣味で走ることを楽しんでください。けれどもそうでないなら、無理をしてまで走る必要はありません。ヤセたければ、走ることをやめてください」
運動量は日常生活の中で増やす
この言葉の真意を説明しておきましょう。「ヤセたければ、走るな」というのが、私が提案したい大きなメッセージの一つです。あまのじゃくのように思われるかもしれませんが、それが事実なのです。要は「時間を決めて家の周りを走ったり、フィットネスクラブに出かけてトレッドミル(ウオーキングマシン)で歩くよりも、日常生活の中での運動量を増やした方が結果的によい」、そう申し上げたいのです。
忙しい中、時間をわざわざ捻出(ねんしゅつ)してフィットネスクラブに出かけ、30分間走るよりも、通勤のための時間などをうまく利用して、往復15分間ずつでも歩いた方が賢明です。
理由は簡単です。フィットネスクラブで30分間や1時間、集中して走ったとしても、そのおかげで燃えてくれる体脂肪なんて、わずか数グラム程度に過ぎません。ヤセるために有酸素運動をするのであれば、「フィットネスクラブに行った時だけ頑張る」のではなく、1日のトータルの消費カロリーを少しでも増やした方が有効です。
ジム後のご褒美が太る原因に
しかしフィットネスクラブで定期的に走っているというだけで、「私は運動をしているから」という気分になってしまい、他の時間帯の活動量が低いままだったり、著しく減少していく人もいます。おそらく「フィットネスクラブでのランニング習慣」が免罪符のようになっているのでしょう。
しかし、それくらいでは1日のトータルの消費カロリーはなかなか増えないわけですから、全くヤセません。ましてや、ランニングの後に「この1杯のために走った!」「このご馳走のために走った!」などと言ってビールや高カロリー食を楽しんでいたとしたら……。カロリーの摂取量と消費量は「プラスマイナスゼロ」どころか「プラス」となって、余計に太ることになってしまいます。