激戦区の大阪を勝ち抜いた履正社

次は大阪桐蔭を破り甲子園出場を決めた、激戦区大阪代表の履正社だ。

履正社に関しては、打線がこの世代でトップクラスの実力である。

昨年、岡田龍生氏から多田晃氏に監督が変わったものの、2019年の多くの好投手を攻略した打線を彷彿とさせるチームだ。予選の平均得点は10点を記録し、決勝以外は7点以上をマークした。

監督である多田氏は「甲子園のかかる大会では12連敗していた。僕もコーチになってからは桐蔭さんに勝つのは一度もなかった。桐蔭さんに勝てないと甲子園にいけない。桐蔭さんに勝てるようなチームをつくりたいと思ってコーチのときから準備していた。うれしい思いです。昨年も大阪桐蔭に7-0で負けて悔しい思いをしてきた。夏も秋も負けたので、好投手を打てるように冬も春も練習してきました」とコメントを残した。

その言葉の通り、大阪桐蔭のエース・前田悠伍から3点を奪い、常に試合を優勢に進めた。

先発の福田幸乃介は自己最速となる151km/h(平均140.03km/h)を記録する最高のピッチングを見せ、大阪桐蔭打線を3安打に抑え、完封勝利を挙げた。また、投手陣に関しては福田以外にもエースナンバーの増田壮や高木大希などがいるため、甲子園を勝ち上がれるだけの枚数も揃っている。

大阪桐蔭の安定した強さに隠れているが、履正社に関しても優勝を狙える力はあるだろう。

ここ近年の夏の甲子園の近畿勢は、2017年から2022年まで5大会連続でベスト4以上の結果を残している。

そのため近畿勢では、この履正社と智辯学園が勝ち上がっていく力があるだろう。

センバツのリベンジを期する慶應義塾

次はこちらも激戦区の神奈川を制した慶應義塾だ。

慶應義塾は、センバツでは仙台育英と互角の試合をしていたこともあり、この夏の注目度も高い。

神奈川県大会決勝では、好投手の杉山遥希に抑えられていたが、9回の土壇場に渡辺千之亮が逆転スリーランホームランを放ち、甲子園出場を決めた。

履正社と同様に打力は非常に高いものがあり、準決勝の東海大相模にはコールド勝ちしているほどだ。

こちらも得点力があるチームで、神奈川県大会では6点以上を記録している。また、投手陣も複数枚いることもポイントが高いだろう。

上記4チームの他に専大松戸と八戸学院光星、智辯学園がいる形だ。

専大松戸は決勝で3番に座り正捕手の吉田慶剛が死球で負傷交代していることや、平野大地の登板がなかったことだ。

この両選手が無事に甲子園で出場ができることであれば、一気に優勝候補に上がっていくだろう。