今、最も勢いのある女優の1人、岡崎紗絵。デビュー10周年の昨年は『花嫁未満エスケープ』で連続ドラマ初主演を経験。“結婚適齢期”のアラサー女子を演じ、同世代の女性たちから多くの支持を集めた。
9月1日から公開される新作映画『緑のざわめき』は、母親の違う三姉妹、それぞれの心の揺れを描いた作品で、姉に憧れるあまりにストーカー行為を繰り返す妹・菜穂子というミステリアスな役に挑戦。これまでになく内向的な役に考えることが多かったと語る。
専属モデルを務める雑誌『Ray』では連載が始まり、ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』ではナレーションを務めるなど、今年になって次々とチャレンジを続ける彼女に、ニュースクランチがインタビューした。
新作映画で強烈なキャラクターに初挑戦
――映画『緑のざわめき』は独特な世界観がある作品ですね。台本を読まれたときはどういう印象を持ちましたか。
岡崎 人の繊細さにスポットが当たった作品だと思いました。登場人物それぞれが人に言えないような秘密を抱えていて、その秘めているものにフォーカスしています。台本を読んだときに心の動きの繊細な描写に魅かれた、と言いたいところですが、当時はとにかく菜穂子役を演じるにあたり難しく感じてしまって……自分だけでは追いつかない部分がたくさんありました。
監督とお話を重ねていくうちに、なんとか理解できてくるものが増えていき、最終的には不安や疑問を感じずに挑むことができました。とはいえ、この作品の魅力である心理描写の繊細さ、細やかさを実際に感じたのは全体につながった作品を見てからです。最初に台本を読んだときにはまだ気づけていなくて、映像になってやっと感じられるようになりました。
撮影に入っているときも、まだまだ考えることがいっぱいありました。この作品の魅力は考える余白のあるところだと思います。いろいろ明らかにせず、明確な答えを与えないので、人それぞれに感じることがあると思います。誰が見てもきっと同じ結論にはならない、個々が感じるものを尊重している作品です。登場する三姉妹の誰に注目するかで、また見え方が変わってくると思いますし、同じ方が何度か見ても、時期によっても見えてくるものが違ってくると思います。
――その姉妹のなかでも、岡崎さんの演じられた菜穂子は強烈なキャラクターでした。
岡崎 強烈でしたね(笑)。どちらかというと影が強くて、演じたことのない役だったので自分の中では挑戦でした。今まではわかりやすい、竹を割ったような性格の役が多く、感情もつかみやすい感覚があったのですが、今回はすごく陰なほうだったので、ものすごく難しくて。
その都度、監督にお話を伺って、話し合って、煮詰めてからやっと出るという感じで、私ひとりでは見つけられなかったかもしれない、なかなかに難しいキャラクターではありました。シーンを撮る前の監督との話し合いの時間が、自分には大きな助けになりました。
――監督の言葉で印象に残っているものはありますか。
岡崎 ニュアンスではなく、「それはやらなくていい。そう思わなくていい」とはっきり伝えてくださるんです。この作品に関わった現場のスタッフやキャストのなかで、監督が一番わかりやすくて、質問にはイエスかノーで答えてくれるんです。
あるときは、台本にあったシーンを「これは無しでいこう」とバッサリなくしたこともあって、潔いと思いました。場面をなくして、精度を上げていく。頭ではわかっても、場面を削るというのはかなり大きな決断ですよね。そのシーンをなくすことで、説明がつかなくなることも場合によっては生まれると思うんです。
監督がそうできたのも、キャストに愛があり、そのシーンがなくても伝えられると信頼していただいているからこそだと思うと、短いあいだでしたが関係性ができていたんだとうれしくなりました。姉妹3人のシーンでは、それぞれがどんな気持ちでいるのか、監督とかなり話し合いを重ね、最終的には全員が曇りなく各々の役柄に取り組めましたし、全員への目配りのある監督で助けられました。