長女役・松井玲奈の神秘的な佇まいに引き込まれた

――頑張りすぎて拗(こじ)らせてしまった菜穂子は岡崎さんらしい役とも思えますが、自分ではどう思っていたのでしょう?

岡崎 今までも頑張りすぎて空回りするような役柄はあったので、ベースとしては重なるのかもしれません。それでも、人間としての温度感が今までにない低めの感覚に悩みながら、監督とちょっとずつ調整しながらやっていました。

行動は突飛で、普通ならここでやめておこうっていうところを超えてくるんですが、菜穂子の温度感を、一つ一つを大切にしようと。厳しいお母さんに育てられて、あまり褒められなかったことで認められたい思いが強くて、自分の憧れの対象であるお姉ちゃんに異常なほど執着してしまう。真っ直ぐすぎて、そうなってしまっているんです。

お姉ちゃんという存在に自分を認めてほしい。認められなかった自分がいるから、お姉ちゃんに自分の理想を重ねてしまっているところもある。お姉ちゃん自身、実際はどうなのかというのは彼女にはわからないはずで、表面上でしかお姉ちゃんのことは知らない。

本当はお姉ちゃんにも悩みがあって、深く傷ついた過去がある。それが菜穂子には見えていなくて、完璧な理想のお姉ちゃんを自分で作り上げてしまっている部分があります。でも、本当に好きなものに突き進んでいく推進力と、あのエネルギーはすごいなと思いました。

――お姉さん役の松井玲奈さん、妹役の倉島颯良さんとの距離感はどのように保っていたのですか。

岡崎 3人でのシーンは少なかったので、会う機会もさほど多くはありませんでした。むしろ、3人揃うのはすごく貴重な時間だったんです。だからこそ、あまり深めすぎると、せっかくの空気感が違ったものになりそうで、3人でいるときもあまりパーソナルな踏み込んだ会話はあえてせず、そのままの距離感がちょうどいいと感じていました。役もお互いを知りすぎていないところがあるので、そのままでいようという気持ちでした。

 

――どちらか2人でのシーンも同じですか。

岡崎 松井さんとの撮影のほうが多かったんですけど、そんなにワイワイとお話する感じではありませんでした。松井さん自身から醸し出される空気感がとても神秘的で、纏っている空気がミステリアスでもっと知りたくなるんです。菜穂子が“理想にしたい人”と思うのも理解できて、私も松井さんをよく眺めていました。

空き時間に写真を撮らせてもらったのですが、いろんな顔を見せてくださるので、“こんな表情をするんだ”と撮っていてすごく楽しかったです。いま思えば、役の気持ちなのか、自分の気持ちなのかはわからないですけど、リンクしていたのかなと思います。

――3人の共通点みたいなものはありましたか。

岡崎 美容の話をしていた気がします。何を使って良かったとか。女子が集まるとしがちな会話ですね(笑)。近すぎることなく、離れすぎることもなく、そういった話をしていました。

――異母三姉妹って想像が難しいですね。

岡崎 姉妹は父親でつながっているのですが、どの子も大きくなる前、幼少期に父親は家を出ていってしまっているんです。妹に関しては父親に会ったこともない。なかなか想像しづらい関係性です。キーになるのが、劇中に出てくる「葉脈」。葉脈は枝分かれしているけれど、辿っていくと一つにつながっている。3人とも同じ葉脈の栞を持っていて、とても象徴的だと思います。

――この作品をきっかけに、ご自身の家族について考えることはありましたか。

岡崎 三姉妹は3人とも、どこかで肯定されたいとか、何かとつながっていたいという気持ちがあったような気がします。異母姉妹って、存在は知っていても会いに行かないパターンもあっただろうと思います。それなのに気になって、気にして、会いたいと思うのは、やはりどこかでつながっているからなのでしょう。どんな人なんだろうという興味もあったと思います。

三姉妹はみんな“ひとり”なんです。菜穂子の親は離婚してしまい、実家には新しいお母さんがいる。妹はお母さんを亡くして、おばさんに育てられている。お姉ちゃんも両親がいない。だから、本当のつながりというものを求めていたんだろうと思うんです。私も姉妹がいるんですが、つながりは切ろうとしても切れないもの。

私も自分の人生を振り返って、姉や妹のことを考える瞬間がありました。私自身も三姉妹の真ん中なので、菜穂子の気持ちを理解できるところが少なからずありました。菜穂子までではないにせよ、お姉ちゃんに憧れる気持ちだったり、妹に対するちょっとした嫉妬とか。一番下の子は特に小さい頃、どうしてもかわいがられますから(笑)。

――佐賀と福岡でのロケはいかがでしたか。

岡崎 ロケ地が本当に素晴らしいんです。特に最後のシーンは海の前に鳥居があって、その脇に木々が並んでいて、“こんな場所があるんだ”と思うような不思議な空間。場所が変わると気持ちも変わるので、自然豊かな場所で気持ちも入りやすかったですし、外界のマイナスな影響をあまり受けないようなところで(笑)。

自分自身、ああいう雰囲気のある場所がすごく好きで、気持ちが高まりました。プライベートでまた行きたいです。私のシーンではないのですが、おばさんとお姉ちゃんが出向く森のような場所、泉山磁石場も印象的でした。