「おはぎ」にはパートナーがいるのです
9月3日。ドラえもんが生まれた日、宮下雄也も産まれました。人間築年数38年目です。
もうかなり古い物件になってきました。周りの同世代の俳優たちは、結婚をして子どもを授かって家庭を築いてます。
僕はダンボールから猫を授かって独身を楽しんでます。
独身ってなんとなく寂しい感じがしますが、そんなことないですよ。
好きな先輩や後輩と飲みに行ったりする時間、ゼルダの伝説の新作を時間も忘れて没頭したり、ジョジョをもう一度1巻から読み直したくて家の本棚からごそっと取り出し、ベッドの隣にジョジョを積んで寝転びながら1冊ずつ読み始めたり……。
誰にも何も言われない、誰かの機嫌をとる必要がない、全力で趣味に集中できる。まさに貴族。独身貴族でございます。
プライベートタイムは、すべて僕がいかに快適に過ごせるかに特化させていて、特に家の中は僕の好きなもので埋めたい! と常に考えて過ごしてます。
「おはぎ」だってそうです。
一人暮らしの寂しさを埋めるためには猫が必要で、僕が独身だからおはぎが生まれたんだと思います。
もし嫁や彼女がいたら、たぶん僕は満たされて「ダンボール猫を作ろう」って考えに至ってなかったと思います。
満たされてたら、深夜に独りで大量の酒を飲み、明け方4時頃にはベロベロにできあがって、『バチェロレッテ』〔才色兼備な独身女性が、独身男性から運命の1人を選ぶ恋愛リアリティ番組〕を見ながらテレビ画面に向かって「はぁ〜!? なんでこっちの男選ぶねん! ないわぁ〜」とか言いながら、ダンボールを猫の形に切ってガムテープペタペタ貼って『ダンボール猫を飼うことにしました』ってSNSに投稿したりしないですよ。
満たされてたらそんな奇行してないですよ。いや、してたかな? まぁどっちでもいいです。
今、こうしておはぎが僕の側にいる。
おはぎのことが大好きな俳優仲間や演出家さんもいる。僕は全然満たされてますよ。38歳になっても、僕はおはぎと独身を楽しみます。独身万歳。
……とか言ってますが、じつはおはぎは僕よりも充実してまして、ダンボールのくせにパートナーがいるんです。
それが、こちらの雌ダンボール猫の「ぼたん」です。
ぼたんとの出会いは、よく晴れた日の午後でした。
おはぎが大好きな日なたぼっこをベランダでしてたときのこと。(おはぎはダンボールなので、直射日光を長時間浴びると焦げるので5分と決めてます)
「おはぎ〜、そろそろお家に入ろうねぇ〜」とベランダに行くと、おはぎがジーッと1か所を見ているのです。
おはぎの目線の先には野良ダンボール猫がいました。
大きなリボンを付けてたので雌猫だと思いました。
僕の家はマンションの5階で、どうやってベランダに来たのかわかりませんが、彼女はおはぎをジッと見てました。
とりあえず、焦げてしまうから一旦おはぎだけを部屋の中に入れましたが、もし、にわか雨が降ってきたら野良ダンボール猫は死んでしまう……。
なので、リボンちゃん(この時点では、まだ「ぼたん」って名前がついてないので仮の名前で「リボンちゃん」って呼んでました)も部屋の中へ入れました。
このまま新しいダンボール猫を飼ってもいいのですが、二匹を飼うとなると月々のトリミング(ガムテープ)代が心配になってくる……。
でも僕が留守のあいだ、おはぎが寂しくないかな? と思って、この野良ダンボール猫を飼うことにしたのです。