関東と関西でお客さんの雰囲気が違う!?

――お二人とも関西出身ですが、関東と関西で、お客さんの雰囲気が違うと感じることはありますか?

板尾 関西のお客さんは、なんでしょうね、よくしゃべるというか。

南野 あははは(笑)。私も思った!

板尾 口に出しはるんでね。いや、そりゃ芝居の邪魔したらダメやと思いますけど(笑)、関西の人なりの入り込み方だと思いますし、僕はその感じは嫌いじゃないですね。でも、笑いだけに関して言うと、やはりウケ方の違いはありますね。関西人は敏感で、常に笑いを欲しているので、お客さんの感性がすごい。ウケ方に関しては、関西と関東では絶対に違いがあると思います。

南野 関西のお客さんは、基本は応援体制で見てくれてますよね。それこそ、なんとなく時間が空いたから見に来たって感じではないというか。応援なので「前回こんなに面白かったのに、今回はちょっと違う」とか、そういう意見をいただくときもあるかもしれません。でもそのぶん、しっかり感じることができる人たちだなって思います。

▲関西のお客さんのイメージは共通していた

――今回の関西演劇祭は、若い世代が多いので、これから巣立って大物になっていく方がいらっしゃるんじゃないかなと思います。ご自身の若い頃と比べて、大きく変わったなと感じることはありますか。

板尾 お芝居でも、笑いが起こるシーンがたくさんあったほうがいいと思っています。でも最近、細かく笑いを取りたがる劇団が増えているような。もちろん、それはそれで面白いのですが、あまり積み重なっていかない部分もある気がしています。本のなかに、面白さっていう仕掛けが散りばめられていて、お客さんの存在があって笑うみたいな。そういう積み上げていく笑いのほうが、演劇の見せ方としてはいいなと。

南野 今の若い方は、理不尽慣れしていないというか。自分が自分でいなきゃいけないと思ってる方が多いかもしれません。私は理不尽は嫌いではなかったんで(笑)。“なんでかな…?”と心の中では思っても今はそういう時期、期間だと思い、受け止められた(笑)。

でも、それはそれでよかったんですよね。舞台は、そんな人の生活をリアルに目の前で覗けるので、見るだけで経験になっていくと思うんです。その空間や時代の空気を自分ごととして感じやすい。なので、若い方には舞台を見て経験を増やしてほしいと思っています。

――やはり、若い頃に言われた理不尽なことは、いまだに覚えているのでしょうか?

南野 覚えていますけど、それも人を理解するうえで必要なことだと思います。自分とは違う考えの人がいるということを知り、認める。人の中で生きているのですから。


<イベント情報>
関西演劇祭 2023
日程:2023年11月11日(土)~19日(日) ※休演日あり
場所:COOL JAPAN PARK OSAKA SS ホール(大阪市中央区大阪城3-6)
参加劇団:Artist Unit イカスケ / 演劇 組織 KIMYO / 餓鬼 の断食 劇団イン・ノート / 劇団FAX / バイク劇団バイク / PandA / MousePiece ree / 無名劇団 / ヨルノサンポ団
プロフィール
 
板尾創路 / 南野陽子
板尾 創路(いたお・いつじ)
1963年生まれ。大阪府出身。NSC(吉本興業のタレント養成所)の4期生。相方のほんこんとお笑いコンビ=130Rを組み数々の番組で活躍。2010年には『板尾創路の脱獄王』で長編映画監督デビューを果たし、『月光ノ仮面』(12)、『火花』(17)を監督。近年の出演作に、ドラマ「おちょやん」(NHK)、「監察医 朝顔」(フジテレビ)、「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~」(日本テレビ)、「赤いナースコール」(テレビ東京)、映画「決算!忠臣蔵」(19 / 中村義洋監督)、「ファーストラヴ」(21 / 堤幸彦監督)、舞台「聖なる怪物」(23)など。2023年8月1日公開の映画「リボルバー・リリー」(行定勲監督)に出演。X(旧Twitter):@itao_itsuji

南野 陽子(みなみの・ようこ)
1985年「リトルウィミン〜若草物語」(日生劇場)が初舞台。以降30作品ほどに出演。大小の劇場、ミュージカルからストレートプレイまで様々なジャンル、スタイルの作品に挑戦している。「細雪」「雪国」「祇園の姉妹」「罠」。 自身のプロデュースユニットのナンチェッコイ、劇団ダンダンブエノ、流山児★事務所、AGAPE store、志村けん一座、吉本百年物語。 最近では、障害と震災を題材にした「なくなるカタチとなくならないキモチ」(駅前劇場)や神戸を舞台にした朗読劇「アネト〜姉と弟の八十年間の手紙」(兵庫県立芸術文化センター)「泣いたらあかん」(新歌舞伎座、博多座)など。Instagram:@yokominamino__