仲良くなったきっかけは「ショクダイオオコンニャク」

――お互いを認識したのはいつぐらいだったんですか?

高木:『ザクセス』っていうライブをやってる栗原くんがつなげてくれました。僕と栗原くんはバイト先が一緒で、可児さんとは彼が早稲田大学の寄席演芸研究会にいたときに面識があったそうなんです。そんな縁もあって、僕らをライブに呼んでくれたときに出会いました。

可児:初対面のときは、そこまで話してなかったんですけど、その1年後ぐらいにテレビ局でモノマネ番組のオーディションがあって、そこでまた会いました。でも、そのときも「あ……」みたいな感じで会釈だけしましたね。

――そんな関係性だったお二人が、どんなきっかけでユニットを組むまでの仲になったんですか?

可児:そこからまた1年ぐらい経ったときに、レッドブルさんが呼んでくれたライブで一緒になったんです。そしたら、公演の前日にX(旧Twitter)で「調布の神代植物公園でショクダイオオコンニャクっていう世界一大きくて、世界一臭い花がもうすごい開花しそうだ」っていうのを僕がリツイートしたら、高木さんが反応してきて、それがきっかけで話しました。

高木:そんなに草花が好きとかではなかったんですけど、「ショクダイオオコンニャク」の開花は2年に1回らしいので、すごく興味が湧いて。それと可児さんのXのアイコンが、めちゃくちゃでかい猫じゃらしみたいなの草の前で撮ってる写真だったのも、もともと気になってたんです。

可児:せっかくなんで立ち会いたいね、と予定を合わせて見に行きました。そのときも他に何人かいて、そこからしばらくはその数人でいろんな植物園に行くチームみたいになったんですよ。

――なるほど。最初は植物園に行くチームメイトだったんですね。

可児:そうですね。だけど、そのメンバーで新宿御苑に行こうとしたとき、他のメンバーが行かないってなったので、僕らだけで行ったんです。その帰りに「宇宙村」っていう施設に寄ったんですけど、そこにでっかい隕石があって。

帰りがけに従業員のおじさんに「そこで写真を撮ってみたらどうだ」って言われたので、写真を撮るときだけマスクを外したら、そのおじさんに「都会(とかい)のトム&ソーヤだ!」って言われたんです。それがすごいウケて。

高木:周りにいた他の従業員のおばさんとかも「ほんとだ!」みたいにね。僕ら自身は、よくわかってなかったんですけど、なんとなくしっくりきたんで、そこからライブで二人がそろったときは「都会のトム&ソーヤです」って、ふざけて言うようになりました。だから、最初はコンビ名というよりは、ユニット名みたいな感じでした。

――その「都会のトム&ソーヤ」って、何かの例えだったんですか?

高木:実際に『都会(まち)のトム&ソーヤ』っていう児童文学はあるんです。だけど、それは「都会」って書いて、“まち”って読むんですよ。だから、あのおじさんはそれを間違えて覚えていたのか、そもそもこの児童文学はまったく関係ないのか。真相はよくわからないです(笑)。

可児:おじさんがただ思いついたっていう可能性もありますし。

高木:だけど『都会(まち)のトム&ソーヤ』の表紙を見たら、僕らにそっくりな2人組だったんですよ。1人がクールな感じで、可児さんがかけてるみたいな眼鏡をしていて。もう1人は短髪で目がぱっちりしていて、なんか元気そうみたいな。だから、似てはいるんですけどね。

▲そのときの二人の風貌が『都会(まち)のトム&ソーヤ』に似ていたそう

誰かとユニット組んで賞レースにも出たかった

――本格的にお二人でネタをやるようになったきっかけを教えてください。

可児:僕が『R-1グランプリ』の1回戦で落ちちゃったとき、ちょっとこのままじゃダメだなと思って、高木さんに声をかけました。

高木:ピン芸人は『キングオブコント』や『M-1』に出れないので、僕もいつか誰かとユニット組んで、賞レースにも出たいっていうのは考えてたんです。だから、よく知る可児さんと出るのが現実的だなって。

可児:最初はコンビというより、まあユニットとして、3年ぐらいかけていいところまで行けたらいいね、くらいの感じでした。

高木:そうですね。それぞれピンに重きを置きつつ、賞レースは出るみたいな。

――では、最初は賞レースに向けてのユニットという感じだったんですか?

高木:はい。でも、1年くらいそんな感じでやっていくなかで、僕個人としてはピンよりもコンビのほうがお客さんから応援されてる感じがあって。そもそも、僕があんまりピンで応援されるタイプじゃないっていうのもあるんですけど。そんな感じだったので、なんとなくコンビのほうがいいのかなって。

可児:僕もユニットを組んでから、ピンネタもやってたんですけど、僕の場合はどちらかというと「ピンで出ます」ってときのほうが、お客さんが「可児さん、久しぶりにピンネタやってくれるんだ! やったー!」みたいな感じだったんです。

もちろんありがたいけど、僕的にはコンビもピンも同じ熱量でやっているのに、どちらかは喜ばれて、どちらかは喜ばれないみたいなのが、なんかイヤだなと思って。それでコンビ1本にしました。

――そうして、可児さんもジンセイプロに所属して、正式にコンビを結成されたんですね。その流れで『キングオブコント 2023』で準決勝進出と、すごく良い流れだったのではないかと思いますが、お二人の体感としてはいかがでしたか?

高木:“前年を超えられたらいいね”っていう感じだったので、思った以上の成果が出たのは驚きました。ユニットを組んで1年目で、なんとなく“僕らはコントだな”っていうのがわかり、その方向性でやってこれたのが大きかったですね。

可児:僕はピンでやってたときよりも、コンビになってからのほうが作ってるネタの本数が減ったので、楽になったんですよ。高木さんのおかげなんですけど、この労力でこんなに褒めてもらえるなら、絶対こっちのほうがいいなって思います(笑)。『キングオブコント』で披露したネタも、そこまで根詰めて考えたわけでもなかったですし。