ミュージシャンは普段どんな「メシ」を食べているのか、実はめちゃくちゃこだわっている「メシ」があるんじゃないか? ニュースクランチの編集部員が個人的な趣味で聞きまくる「ミュージシャンのこだわりメシ」。
今回は、埼玉県・大宮駅にお店を構える『大宮まぜそば 誠治』のオーナーであり、the telephonesのドラムとして活躍を続ける松本誠治さんに、「まぜそば」について語ってもらいました。
「ぶぶか」の“汁なし麺”で魅力にハマった
――まぜそば屋のオーナーでもある松本さんが、まぜそばにハマったきっかけを教えていただけますでしょうか?
松本:基本的には麺類すべからく好きなんですが、まぜそばというよりかは、汁なしの麺に出合ったのが、20歳くらいだったのかな? 「ぶぶか」というお店の油そばなんですけど、それが衝撃的すぎて……。
――そこから汁なしの文化にどっぷりと浸かっていかれるんですか?
松本:そうですね。日本が特にそうなのかもしれないけど、「油そば」という名前のほうが認識として広い気がするんですよね。そもそも文化もラーメンほどは深くなくて、定義もそんなに強くないものだから、自分で好きに決めて楽しめる。調味料がたくさんあったり、お店側もお客さんに託してくれている感じがあるんですよ。そういうところの面白さに惹かれました。
――そこから、ぶぶか以外にも足を伸ばしていったと。
松本:はい。とにかく、いろんなところに行きました。発祥と言われるお店が2軒位あったりするんですよね。でも、それくらい曖昧だからこそ、いろいろな人が参入できて面白いのかなと思うんですよ。当時は専門的に出しているお店も多くなかったので、期間限定で出しているお店にも食べに行ってました。
これからの文化として考えると面白い
――汁なし麺は多種多様とのことですが、そんななかでも好きな味はありますか?
松本:難しいんですよね、まぜそばの100点ってないと思うんです。100点を定義するお店がまだない。伝統がいろんなところに派生して作られている最中なので、正解がないように思うんです。
――まだ完成しきっていない?
松本:そう。だから、めっちゃ面白がっている人は増えていると思いますね。「これが!」というよりは、個人の出会った瞬間のものがベーシックにならざるを得ない。ルーツはあるとは思うんですけど、自由な感じがいいですよね。ある意味、多様性の現代にも合っているのではないでしょうか。
――歴史が浅いからこそ可能性を秘めている。
松本:当然、ラーメンより歴史は浅いわけで。僕らが担ってもいいという可能性がいいじゃないですか! 逆に言うと、どんどん変わっちゃうので、10年後とかには全く違うもの出てくる可能性はある。僕らが作ってるものがクラシックになっていくかもしれないけど、かと言って、10年が伝統と言われたらそうでもないみたいな。
――そこを考えると、より面白くなってきますよね。
松本:文化として考えると面白いですよね。これからどう変化していくのだろうって。