ミュージシャンは普段どんな「メシ」を食べているのか、実はめちゃくちゃこだわっている「メシ」があるんじゃないか? ニュースクランチの編集部員が個人的な趣味で聞きまくる「ミュージシャンのこだわりメシ」。
今回は下北沢にある『カレーの店・八月』のオーナーでもある、サニーデイ・サービスの曽我部恵一さんに、「カレー」について聞いてみました!
みんなと同じようにカレーが好きです
――カレー屋のオーナーでもある曽我部さんが、カレーにハマったきっかけを教えていただけますでしょうか?
曽我部:もちろんカレーは好きなんですけど、正直、そんなに詳しいっていうわけじゃないんですよ。なんでも好きなので、カレーもそのひとつ。みんなと同じように、子どもの頃から「カレーっておいしいな」と思っていたくらいの感じなんです(笑)。
――なるほど。子どもはカレー好きですもんね。
曽我部:みんな好きじゃないですか。小学校のときとか給食でカレーが出ると、みんなぶち上がってたし。夜、街を歩いていてカレーの匂いがしてきたら「ここの家の夕飯はカレーだ、いいなー!」とか思いますよね。僕自身のカレーへの思いも、そのくらいの話です。だから、あんまり強いこだわりはなくて、どんなカレーでも誰の手作りでも、おいしいものはおいしいなと思います。
――今まで食べてきたなかで、特に思い出に残っているカレーはありますか。
曽我部:いっぱいあります。今になっても給食のカレーは忘れられないし、林間学校に行ったときにみんなで飯盒で作ったカレーとか……。本当にいろいろありますね。
――では、好きなカレー屋さんはありますか。
曽我部:これもいろいろありますね。新宿のモンスナック、下北沢の茄子おやじ、上野のデリー、新宿の草枕……。あと神保町のエチオピアとかも好き。神保町は大学生の頃とか、しょっちゅう古本を見に行ってたんだけど、カレー屋さんもいっぱいあるからよく食べてましたね。
あと、地元の香川県にベンガル亭っていうカレー屋さんがあるんですけど、そこはすごいこだわって自己流のカレー作っていたと思うんですよ。だから、給食のカレーとか親が作るルーのカレーとは違う、そこでしか食べれないおいしさがあって。そこで初めて家庭の味とは違うカレーと出会い、「こんなカレーあるんだ!」と思ったお店なので印象深いですね。
カレーも音楽もジャンルにこだわりはない
――欧風カレーやインドカレーなど種類もいろいろとありますが、曽我部さんはどんなタイプのカレーが好きですか。
曽我部:どんなジャンルでもおいしければ、全部好きです。カレー以外のことでもジャンルとかのこだわりは特にないんですよ(笑)。
――その考えは音楽もですか?
曽我部:音楽もジャンルでのこだわりとかないですね。こういう音楽しか聞かないとか、自分は〇〇派なんでとか全然なくて、自分が好きだなと思えばなんでもいいです。僕の哲学でもあるんですけど、みんなが知ってるからカッコ悪いとか、誰も知らないからカッコいいとか、いい大学出てるから優秀だとか、学歴がないからよくないとか、そういうのも全然気にしないです。いいものはいいし、好きなものは好き。
カレーも同じで、ここで修行したからとか、インドのスパイスを使っていてとか、そんなの関係なくて、自分が好きかどうかが一番大事だと思うんですよ。好きじゃないとまったく意味ないでしょ。
――たしかに、それが一番大切ですよね。では、そもそもなぜ曽我部さんはカレー屋を始めたんでしょうか。
曽我部:もともと下北沢でカフェをやっていたんですけど、10年過ぎたくらいのときから、もう一軒くらい自分たちのお店があってもいいよね、みたいな話になったんです。長年かけてできた人間関係とか、自分たちで培った飲食店のやり方、接客の仕方とかがあるので、もうひとつくらい何かやってもいいんじゃないかって。
それで何屋さんがいいかなとなったときに、やっぱりカレーじゃないかと。子どもでも大人でも、お金がない学生でもおじいちゃんおばあちゃんでも、誰にでも食べてもらえるものって考えた結果、カレー屋さんにしました。
――下北沢は「カレーの激戦区」としても有名ですが、そこで新しくカレー店を始めることへのハードルは感じなかったんですか。
曽我部:なかったですね。そもそも他店と競争しようとは思ってなかったので。僕自身、下北沢に好きなカレー屋さんがいっぱいあるんですよ。さっきも言った茄子おやじさんとか、アンジャリとか。このお店の目の前にCoCo壱番屋があったんですけど、ココイチも好きです。おいしいカレー屋さんの選択肢がたくさんある街っていいじゃないですか。
特に、茄子おやじさんは東京に来てから初めて、ここのカレーおいしいなと思ったお店なんですよ。茄子おやじさんならではの味があって、お店の心が見えるというか。そういうところが好きで、長年お世話になっています。
――曽我部さんがオーナーを務める『カレーの店・八月』。多くの人から愛されていますが、どんなこだわりがありますか。
曽我部:僕とシェフだけで作ったわけじゃなくて、スタッフみんなで試食して、こうじゃない、ああじゃないって言い合いながら作りました。なんとなく、どこにもないカレーがいいなっていうのはあったので、最初は街の敷居が低いカレー屋さん目指してカレーを作りました。“安いけど、あそこのカレーって他で食べれないよね”と思ってもらえるような味。あと、僕の好きなサラサラのカレーがいいんじゃないか、とかはありましたね。