飲みたくなったら朝8時からどうぞ
注文は紙に書く方式です。
酒を書き込むスペースがないから、欄外に書いておきましょう。
串を適当に5本くらい。ぼんじりが食べたいな。あ、ハツもいいね、つくねもおいしそう。
5分ほどで焼き立ての串が到着。いやっほー。
私は七味をたっぷりとかけるのが好み。香辛料をたっぷりかけると酒がさらに進むし、血行もよくなる気がしませんか? 私は痛風で高血圧だけど、ここまで生きてこれたのは、香辛料のおかげだと思っています。
うん、うまい。どれもうまい。さすが精肉店直営店。
やいのやいのと騒いでいたら、奥から店主が出てきました。
「取材? だったらこれも食べていって」
と出してくれたのは「胸肉のたたき」
いや、これもうまい! 新鮮なのがよくわかる! 鶏肉をおろしたそばから提供するからこその鮮度。うますぎでしょう。
「たたきって普段から出してるんですか?」
「うん」
「メニューに載ってませんよね?」
「これがそうかな」
「つまみ各種 時価」
時価! こんな恐ろしい書き方しないでも。
でも、「なんかつまみない?」って聞いてよっ、てことらしいです。聞いてくれればなんでも作るって。
うまいうまいって言いながら食べていたら、さらにつまみが出てきました。
こちらは「ささみの刺し身」。
店主は人懐っこくて、話好き。「おいしい」って言ってくれると嬉しいんだって。
わかります。私も原稿が「面白い」って言われると、筆が進んじゃいますから。
店主は民謡の歌い手としても活動しているそうです。
「どっちが本業かって? そりゃ〜、こっちかな」
ということで、肉には自信があります。名前を聞けば誰もが知っているような名店にも鶏肉を卸していて(お店で直接聞いてください)びっくり。こりゃうまいわけだ。
焼き場に立っているネパール人の青年たちものびのびとしていて働きやすそう。
家の近くにこんな店があったらフラッと入っちゃうな。
問題は何時から開いているかだ。
オープンは何時から?
「8時」
「……8時?」
「そう。でも朝は忙しくて構えないから勝手に飲んでて」
「あ、はい。で、閉まるのは?」
「うーん、じゃあ20時」
あはは、適当だな。でもね、思ったんです。店主は寂しがりやで、いろんな人に集まって欲しいんだなって。だから立ち飲み屋のオープンは、隣の肉屋とほとんど同じ。こんな店、ほかにありますか?
もしも店に足を運ぶことがあったら、店主に「おいしいね」って声をかけてみてください。きっとお互い気分が良くなって、居心地がさらによくなること間違いなし。いやあ、いいお店だ。
「また来ますね」
「絶対に来てね」
ああ、なんていい掛け合いなんだろう。今日は気分よく眠れそうだ。さてつぎはどこの店へ行こうかな。ふらりふらりと次の街へ。
■鯰屋
住所:東京都大田区東雪谷3-19-17
電話:03-3727-8300
営業時間:8:00~20:00
営業時間・定休日は変更となる場合がありますので、ご来店前に店舗にご確認ください。