インボイス制度の導入で泣いている国民

巨額な利益を上げていながら納税額が少ないというのは、GAFAだけに限った話ではありません。富裕層ほど税金を払わないで済むというのは、日本においても厳然たる事実で、その境目はだいたい年収1億円以上のところにあるようです。

日本の所得税法では、高額所得者の名目上の最高税率は50%ですが、有価証券配当所得に対しては驚くほどの優遇があり、どんなに収入があっても所得税、住民税を合わせて一律20%でいいということになっています(分離課税)。富裕層ほど、所得における配当収入の比率が高くなるので、どんどん優遇されていきます。

インボイス制度導入によって見込まれている税収増が、年間2480億円しかないと聞くと、日本政府は制度導入に伴って職を失う人、廃業を考える人、実質収入を減らして苦境に陥る人への想像力など、まるでないのだと思わざるを得ません。

▲インボイス制度の導入で泣いている国民 イメージ:nonpii / PIXTA

財務省は恐ろしい役所で、消費税こそが日本経済を浮上させない根本要因であるとわかっているにもかかわらず、真逆の政策を取り、2023年10月からインボイス制度を導入してしまいました。

インボイス制度は、これまで消費税納入を免除されてきた年商1000万円以下の小規模事業者や個人事業主は、消費者からの預かり金である消費税をポケットに入れていたからけしからんという発想です。

しかし、財務省の前身である大蔵省は、消費税は預かり金ではなく価格の一部だと明言しています。また、法的には消費税は間接税と定義されていません。

それにもかかわらずインボイス制度を導入すれば、増税分を自分が泣く形で負担することによって収入減になったり、値下げを強いられたり、廃業を選択する小規模事業者・個人事業主が続出します。その動きはすでに始まっています。

これほどの悪政、愚策を連発しているというのに、困ったことに政府は自らの過ちを省みようともしません。しかし、この政権を選んでいるのは日本国民です。政治に無関心であったり、政治家や官僚へのチェックを怠って任せきりでいると、とんでもないことになるのです。比喩でなく、国を滅ぼしかねません。

日本政府は自ら人口を減少させる政策を取りながら、減少分を外国人の移民で手っ取り早く補おうとしています。じつに愚かな所業です。取り返しのつかないことになる前に、我々有権者が立ち上がってこの流れを止めなければ、遠からず日本は、三流国家に転落し、やがて日本人の国ですらなくなってしまうでしょう。