記憶にある風景にすごく似てると言われたい
楳図かずお作品以外に影響を受けたものを聞いてみると、1997年に発売されたゲーム『クーロンズ・ゲート』を挙げてくれた。
「かなり奇妙なゲームで、内容はめちゃくちゃなんですが、不条理な世界観とか、九龍城のごちゃごちゃした感じとかが好きになったのは、このゲームがきっかけだと思います。最近描いた九龍城にいる女の子の絵を描いてるときにも、頭の中に『クーロンズ・ゲート』がずっとありました。かなり影響を受けて描いてるなって自分でも思います。
不思議な世界なんだけど、なぜかまとまってるというか、なんとなく納得してしまうんです。てんでおかしな世界なんだけど、“もしかしたら現実のどこかにあるかも?”って思わせてくれるんですよね。自分の作品作りでも、見たことないけどなんかありそう、私の記憶にある風景にすごく似てる”と思わせられるような景色が描けたらいいなと思います。
おかしな世界、それこそ室外機がうじゃうじゃ動き出したりしてたりとか、すごい量のダクトがあったりとか、さすがに現実としてはおかしいけど、でも一瞬、頭が納得しちゃうような絵を描きたいです」
最後に、今後やってみたいことを聞いてみると、自分の絵を動かすことだと教えてくれた。
「野望としては、自分の絵を動かすのが夢なんです。アニメーションとかゲームとかにしてみたいですね。今は平面で自分の世界観を表現してますが、もしできるのであれば、それを動かして、自分の世界を自分で動かせるようになれたら最強だなって。
私が描いている絵も、自分が欲しい風景を描いてるので、自分の絵のような雰囲気のゲームがあったら私がやりたいんですよ(笑)、私が作った世界を歩き回るだけでもいいんですけど。それが大いなる野望ですね」
(取材:山崎 淳)
プロフィール
指宿(いぶすき)
イラストレーター。路地裏や室外機を描く。ボールペンやミリペンなどで描く精緻でなりながら、どこか懐かしさを感じるアナログ風景画をSNSなどで発表している。LINEスタンプ販売中!:室外機くん、X(旧Twitter):@ibsukionsen