プロレスラーになって人生が変わった

そういえば、マリーゴールドに移籍してきた詩美を見て、びっくりしたことがある。掲載した写真を見ていただければわかるように、舌にピアスをしているのだ。その理由を尋ねると、詩美はちょっと照れながら、こう教えてくれた。

▲舌ピアスを見せたクールなショット

「前からやってみたかったんですけど、試合が詰まっていて、なかなかできなかったので、マリーゴールドの旗揚げ準備の期間に開けました。よくピアスを開けたら、人生が変わったって聞くじゃないですか? 私、そういうのを信じるタイプで……でも、本当に人生、変わっちゃいましたね、大きな夢がいきなり叶っちゃうんですから!」

今さら説明するまでもないかもしれないが、詩美はあの『ビッグダディ』こと林下清志氏の三女。プロレスデビューした際は、ことあるごとに「ビッグダディの娘がデビュー」「ビッグダディの娘がタイトル奪取」と報じられた。

ファンからは「もうチャンピオンになったんだから、そろそろビッグダディの娘じゃなくて、林下詩美の名前を見出しにしてくれ!」とクレームをつけられたこともあったが、当の詩美は「世の中の人に女子プロレスを知ってもらえるきっかけになるんだったら、ビッグダディの娘と報じてもらってかまわない」というスタンスだった。

そして、マリーゴールドで新しい闘いをはじめた今、詩美の「世の中の人に女子プロレスを知ってもらいたい」という気持ちはさらに強くなっている。

「それはやっぱり、自分自身がプロレスラーになって人生が変わったからですよ。プロレスラーになる前は極度の人見知りで、こうやって取材されて答えるなんてこと、絶対にできなかった。今でも、そんなにたくさんしゃべれるわけじゃないですけど(苦笑)。

普通にお店に入っても、恥ずかしくて店員さんに注文すらできないレベルだったので、プロレスラーになって人生変わった、というより、オーバーじゃなくて“人間になれた”ぐらいに私は思っているんですよ。

そんなプロレスのすばらしさを、もっともっとたくさんの人に知ってもらいたい。会場で生観戦しないとわからないプロレスの魅力もあるので、一度、足を運んでみてもらいたいですよね。私からバラを手渡されるかもしれませんよ」

シビれるほどのカッコよさで女性ファンから絶大なる支持を集めている林下詩美。ナチュラルにカッコいいのかと思っていたが、今回の撮影でびっくり! こちらからポーズをお願いする前に次から次へと決めポーズ&表情を連発。これはトッププロレスラーとして研究し尽くしている!

イヨ・スカイとの「運命の対決」を経て、プロレスラーとしてどんな進化を遂げるのか? まずは両国国技館に注目したい。伝説はきっと、ここから始まる――。

(取材:小島 和宏)


【大会情報】
MARIGOLD Summer Destiny2024
2024年7月13日(土) 両国国技館
開場13:00 / 開始14:30 
詳細:https://dsf-marigold.com/schedule/day/0713.html
プロフィール
 
林下 詩美(はやしした・うたみ)
1998年9月14日生まれ、鹿児島県奄美大島出身。2018年8月12日、後楽園ホールにてジャングル叫女を対戦相手にデビュー。ビッグダディこと林下清志の三女。父の影響で柔道を始め、初段を獲得。驚異のビッグルーキーとしてデビューし、スターダムの主要タイトルを総なめ。2020年11月、岩谷麻優を破りデビューから史上最短で念願の赤いベルトを奪取。2021年度の女子プロレス大賞を受賞し、赤いベルトはV9を記録。2024年5月に旗揚げした新団体・マリーゴールドに移籍し、多くのメインイベントを務めている。X(旧Twitter):@utami0914、Instagram:@u_t_m_0914