『笑っていいとも!』での立ち位置に悩む
そして、関根にはもうひとつの土壇場があった。それは意外にも、およそ29年にわたってレギュラー出演していた『笑っていいとも!』で訪れたという。
「32歳のときにレギュラーになったんですけど、僕がやる代表的なモノマネが、ジャイアント馬場さん、長嶋茂雄さん、輪島功一さん、千葉真一さん……わかるでしょ?(笑) 自分と同年代の男が好きなもので笑いを取ってた。いわゆる男笑いというやつです。そういえば、高校時代も男ばかりを笑わせていたし、ラジオイベントをやると、9割以上が男のお客さんなの。
それなのに『笑っていいとも!』は、客席の9割5分が若い女性でしょ? もうね、そこに自分がいることに違和感しかない。どうしたらいいかわからない、それでも頑張ってました。どれくらいそれが続いたかって? その状態で8年はレギュラーやってましたよ」
苦悩しながらも「テレビの向こう側」にいるファンを笑わせようと切り替え、なんとか踏ん張ってきた関根。8年モヤモヤと戦い続けたなかで、ある光を見出した。
「娘の麻里が8~9歳になったあるとき、家に友達を連れてきたんです。通っていたのがインターナショナルスクールということもあってか、友達のお嬢さんたちがみんな、年齢のわりに大人っぽかったんですよ。
その次の週の『笑っていいとも!』に出て、ふと“あ、 この子たちは、麻里の友達の数年先だな。……ってことは、なんだ、あの子たちがちょっと大きくなっただけじゃないか。別に気負うことなかったんだ、僕は何を恐れていたんだ”ってストンと落ちたんです。29年のうち8年間はもがいていましたけど、それに気づいたあとの21年は楽でしたね」
『笑っていいとも!』での関根の真骨頂と言えば、のちに『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でも取り上げられた『身内自慢コンテスト』だろう。有名人に顔が似ている身内や友人を紹介するコーナーで、関根は司会を担当。
紹介者が登場した際、さまざまなものに例えて笑いをかっさらっていた。そのフレーズに関して、関根には流儀があった。
「顔や雰囲気でパッと浮かんだものを言うんですけど、相手は一般の人だし、変なこと言うと傷つけちゃうじゃないですか。あの方々にとっては、これが一生に一度のテレビ出演の可能性が高いわけですよ。そんなうれしいテレビに出たあと、悪口を言われるようになったら申し訳ない。
なので、例えば静かそうな人が出てきたときは“昨日、2冊目の詩集が完成しました”とか“ジーンズにアップリケをつけました”とか言っていましたね(笑)。逆に、アクティブな雰囲気の人には“ブラジル人の友達が多いです”とか例えたり(笑)」
まだコンプライアンスがゆるく、人を傷つける笑いがまかり通っていた時代に、すでに関根には“当たり前”の目線が備わっていたというわけだ。ただガス抜きもしっかりしていたという。
「ありがたいことに“人を傷つけない笑いの先駆け”とか言ってもらえるし、イメージ的に優しいとか言われるんですけど、でも、当時は有名人でも生意気なヤツ、調子こいてるヤツに対してはラジオで毒をぶつけていましたよ(笑)。今みたいにすぐネットニュースにならないからよかった、ハハハハ!」
関根が長く芸能界で活躍している理由は、こうした「目線」が備わっていたからではないだろうか。常に多角的な目線を持ち、芸能界の「バランサー」の役割を果たしているように感じる。そのあたり、関根はどう思っているのか。
「そうですね、僕が生まれた年にテレビ放送が始まったんですけど、本当に小さい頃からテレビばかり見ていたんです。すると、“この人は前に出過ぎだな”とか“この人、空気が読めてないな”とかが、テレビの画面を通して見えてくるわけです。
そんなこともあってか、テレビに出るときは、常に視聴者の自分も、カメラの向こうにいる感覚がずっとあるんです。あと、35歳で劇団『カンコンキンシアター』を立ち上げて、後輩の立ち位置やウケるコントを考えていくうちに、バランス感覚が養われた気がします。
例えば『笑っていいとも!増刊号』とかで流れた放送終了後のトークで、僕とタモリさんが話していると、当時は若手のキャイ〜ンはなかなか入れないわけですよ。でも、テレビを見ている人は、“タモリも関根も知っている。でも、あの横にいる面白そうなヤツはなんなんだ。そっちの話が聞きたいな”と思うわけですよ。だから、僕はすぐに話を振る。“ウドはどう思うの? 天野はどうする?”とか。
そこにタモリさんが絡んでくれて広がっていく……。そうすると、テレビを見ている人は“キャイ~ンっていうのか、知らなかったけど面白かったな。来週も見よう”と感じるし、トークのバランスが良いから、スタッフも喜んでくれるんですよね」
仕事もプライベートも楽しい今が全盛期!
もうひとつ気になることがあった。関根が「楽しそうに仕事をしている」ということだ。TVタレントは見られる仕事であるから、楽しく見えるように気を遣う部分もあるのだろうが、それでも心の底から楽しんでいると感じる。なぜそこまでご機嫌で楽しそうなのか、聞いてみた。
「あはははは! そう見えているならうれしいですね。それは……親からもらった元気な体と、お笑いの世界にいる環境が大きいですかね。学生時代から面白いと思うことをやって、プロになったけど、それだけじゃもちろん通用しなかった。それから、小堺くんが入ってきて二人で活動するようになったけど、悩むことも多くて……。
そんななか『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日系)に出て、やっと市民権を得ることができました。要は、みんなが僕に慣れてくれたんです。
そのあとはどんどん仕事が増えて、楽しいことの連続ですよ。娘と遊ぶのが楽しくて、趣味のゴルフも楽しくて、最近は孫とずっと遊んでいるし……。そう考えると、今が全盛期かもしれませんね」
シビれる名言が飛び出したところで、最後に、今年で芸能生活50周年を迎えた関根に、今後の活動を聞いた。
「(レギュラー出演中の)『シン・ラジオ』(BAYFM)で、僕が“芸能界の良い時期を駆け抜けられた”と話していたら、リスナー含めてみんなが“そんなこと言っている場合じゃない。芸能生活60周年に向けて頑張れ。今よりも高い地位で80歳を迎えろ”って言うんですよ。
その流れもあって、今度、落語に挑戦することになってね。蝶花楼桃花さんが師匠になってくれて、かんこん亭きん太という名前をいただきました。
来年あたり、古典の人情話と、新作の僕らしい落語をやることになったんですけど、番組がそういった挑戦を企画してくれてケツを叩いてくれるんで、老けないですね(笑)。あとは自分がやっているYouTubeのライブも10月にあるし、『コサキン』のイベントも控えているし……やることがいっぱいあるんですよ。全部楽しみ!」
まだまだ止まらないのか関根勤。まだまだ走るのか関根勤。コメディアン・関根勤の全盛期は、これからも更新され続ける――。
(取材:浜瀬 将樹)
血液型:A型
出身地:東京都
TBS『ぎんざNOW』の素人コメディアン道場で初代チャンピオンとなり 1974年12月に芸能界入り。 デビュー後、1975年には「ラビット関根」の芸名を桂三枝師匠よりいただく。 1982年にANB(現テレビ朝日)『欽ちゃんのどこまでやるの!?』レギュラー出演の際、番組内容により本名「関根勤」に戻し活動、現在に至る。 バラエティ番組を中心に、テレビ・ラジオ・CM・舞台など幅広く芸能活動をしている。YouTube:関根勤チャンネル
~ある意味怖い絶対配信できないここだけの話~
2024年11月30日(土)
【1】13:00開演 ゲスト:さらば青春の光
【2】17:00開演 ゲスト:浅田美代子
2024年12月1日(日)
【1】11:00開演 ゲスト:関根麻里 / K / ほか
【2】15:00開演 ゲスト:明石家さんま
会場:銀座 博品館劇場
〒104-8132 東京都中央区銀座8-8-11 8階 東京メトロ 銀座線・丸の内線・日比谷線『銀座駅』A2出口より徒歩5分 JR『新橋駅』銀座口より徒歩3分 / 東京メトロ 銀座線『新橋駅』出口1より徒歩3分
料金:
ある意味怖いVIP席:15,000円(税込)
・3列目までを確保し、特別記念品付きです。
・この中から抽選で5名、「関根勤からあなた(購入者)の紹介にぴったりな一言を付けてもらえるコーナー」を行います。
・終演後、関根勤とツーショット写真を舞台上で撮影します。
VIP席:9,000円(税込)
・5列目までを確保し、特別記念品付きです。
S席:7,000円(税込)
先行受付
【1】関根勤FC先行
2024年8月17日(土)~8月21日(水)
カンコンキンシアター クドい!ファンクラブのご入会
https://fanicon.net/fancommunities/2579
【2】Zen-A特別先行
2024年8月24日(土)~
AM9:00~ Web予約
受付URL:https://www.zen-a.co.jp/ticket/sekinetalk2_tokyo/
AM10:00~ 電話予約
受付電話番号:03-3538-2301
【3】各プレイガイド先行
2024年8月25日(日)~
一般発売日
2024年9月7日(土) AM10:00~