今年も汗が気になりはじめる季節がやってきました。夏になると、どうしても汗はかいてしまうもの。自分の体質に合った汗対策がわかったらうれしいですよね。数多くの汗の悩みに答え、治療をしてきたエキスパート、渋谷スクランブル皮膚科で院長を務める下方征先生に、汗のメカニズムと正しい対策を教えてもらいました。

▲渋谷スクランブル皮膚科 院長・下方征【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-INTERVIEW】

汗には大きく分けると2種類ある

「汗対策」といっても、多汗やニオイなど、悩みは人それぞれ。まずは汗の性質やニオイの原因について理解することが対策の近道だ。

「私たちがかく汗には、大きく分けてエクリン汗とアポクリン汗の2種類があり、どちらもかいた時点では無臭です。

エクリン汗は運動したときにかくサラッとした汗。酸っぱく感じる、いわゆる“汗臭い”ニオイや足のニオイは、このエクリン汗によるものです。一方、脇などから出るアポクリン汗には皮脂が多く含まれており、ベタッとしています。こちらは『ワキガ』という、スパイスのような、より強いニオイの元になります」

かいた時点では無臭ということには驚いた。ニオイが発生するのはどうしてだろうか。

「汗にはさまざまな成分が含まれています。これらが肌の常在菌によって分解され、ニオイのもとになります。2種類の汗は含まれる成分が違うので、ニオイの種類も異なるんですね。特に、アポクリン汗の出やすい部位である脇・胸・足の付け根付近・へその周りを重点的にケアすることで、強いニオイを抑えることができます」

「ワキガ」と呼ばれる強いニオイを発生しやすいかどうかは、汗の量には関係がなく、アポクリン汗をかきやすい体質かどうかによって決まる。

「アポクリン汗が出やすいかどうかは遺伝子レベルの体質なので、変えることは難しいです。ただ、体質はセルフチェックが可能です。耳アカが湿っている人はアポクリン汗が出やすい体質。逆に、耳アカがカサカサしている人は出にくい体質です。これは、ニオイの悩みで診察する際にも必ず確認するポイントです」

まずは自分の体質を知り、セルフケアをしてみる必要がありそうだ。

汗の悩みには制汗剤の利用が効果的

男性は女性よりも汗の悩みが深刻だと思われているが、汗に関して性別による差はないとのことだ。

「女性のほうが、制汗剤の利用などセルフケアをしている割合が高い。その結果、汗の量が少ない・ニオイにくいと認識されているんでしょうね。セルフケアをする・しないで、大きく差が出るということです」

汗の量とニオイ。どちらの悩みにも、まずは制汗剤の利用が効果的だ。

「制汗剤にはさまざまな有効成分が含まれています。大きく分けて、汗の量を抑える成分と、汗をニオイに変化させる肌の常在菌を殺菌する成分があります。『焼きミョウバン』は、汗の量を抑える効果と常在菌の殺菌作用、両方の効能があるのでおすすめです」

汗の量を抑える効果のある制汗剤を使うと、肌の乾燥を感じることもあるので使用量に注意が必要だ。

「制汗剤の使用により、特に足などがカサカサと白っぽく乾燥する場合には、使用量や頻度を減らしてみてください。汗の量を抑える効果が十分に発揮されている証拠なので、効果は保たれます」

▲汗ケアグッズはいろいろある 編集部私物

制汗剤には形状も多数あるが、どういったものを選べばいいのだろうか?

「クリームタイプやスティックタイプなど、直接肌に塗り込むものは効果が持続しやすい利点があります。制汗剤も年々進化していて、効果・使いやすさがアップしています。まずは気軽に試してみるといいですよ」

また、制汗剤を使ううえで忘れがちなのは「必ず汗や皮脂をふき取ってから使う」こと。まずは清潔な肌に制汗剤を塗り、汗をかいたあとには必ず汗を拭きとってから再度塗る、このことを忘れないようにしたい。