大きな目標が育てる「揺るがないこころ」

仕事でトラブルが起きたとき、イライラして怒りまくる人もいれば、無駄にさわぎ立てることなく、静かに対応を進める人もいます。

もちろん性格もあるでしょうが、この場合、前者と後者の違いは、こころの器の大きさにあると言えるでしょう。

東洋医学的な観点から言えば、その人の器とは「気」そのもの。そう、やる気、元気などの「気」です。前項で、包容力のある人は気が巡っているというお話をしましたが、気を大きくもつことができる人(=包容力のある人)には、じつは共通点があります。

それは、大きな目標や夢をもち、責任感をもって生きている、ということ。夢と責任感をもって生きている人は、多少のトラブルで取り乱すことはありません。つまり、些細なことでは揺らがない「気力」がある、というわけですね。

大きな夢をかなえるには、大きなエネルギー、気力が必要です。わたしは幼いころ、父から「大きな夢をもちなさい」と言われて育ちましたが、いま思えば、父は多少のことでは揺るがないこころを育ててほしかったのだと思います。

たとえば、エベレスト登頂に挑む人と、小さな丘に登る人では、覚悟も装備も、まるで違うことでしょう。目標や夢は、大きければ大きいほど、自然と、それに見合った気力が備わっていくものですよ。

「使命感」のある人は体調にも責任をもつ

大きな目標や夢をもつ人は揺るがないこころをもち、多少のトラブルで取り乱すようなことはない、というお話をしました。

大きな夢をもつことで、揺るがないこころを手に入れたら、あとは体力と健康。これらがなければ、責任をもって使命を遂行することはできません。

わたしがからだを診ている人の中には、会社で責任ある立場の人、自分で会社を経営する人、スポーツ選手など表に出る職業の人など、もはや「自分ひとりのからだではない」と思えるほどに、大きな役割を担う方々も、大勢いらっしゃいます。

このような人たちを見ておりますと、自身の健康についても、並々ならぬ努力を重ねていらっしゃる。臓活習慣をしっかりと生活に取り入れて、つねに体調を気遣っているのです。

▲「使命感」のある人は体調にも責任をもつ イメージ:IYO / PIXTA

したがって、使命感をもって生きている人と、自分のことばかり考えて利己的な生き方をしている人とでは、健康に対する意識に差があります。つまり、責任感、使命感をもっている人は、ふだんから自分のからだを養生しているから、不調が出ても乗り越えることができるのです。

自分を大切にするのはとても大事なことですが、利己的になってはいけません。

どうぞ、周囲のためにも責任をもって、臓活に励んでほしいと思います。