おはようごさいますこんにちはこんばんは、番組プロデューサーのTPこと高橋です。「TPコーポレーション東京X」という変な名前の会社の社長です。
元々「テレビ朝日」というテレビ局の社員だったのですが、紆余曲折あり約2年前に社長になりました。退職の経緯などは過去回をご参照ください。
この度、連載のメインビジュアルを吉本興業「ムームー大陸」の山﨑おしるこさんに描き下ろしてもらいました。おしるこさんの旧コンビ「ねこ屋敷」時代からのファンで、素敵に描いていただけただけで「社長になってよかった」と心から思いました。
テレ朝時代におしるこさんのマンガ企画を会社に提案したことがあったのですが、秒でボツにされたことを今でも覚えているし、「そういうこと」の積み重ねで辞めたからこそ、おしるこさんと仕事ができたので、むしろボツにされて良かったと思っております。とにかく、おしるこさんありがとうございます!
寂しいから「話し相手を募集」
さて、今回は弊社初の社員「桜井さん」について書きたいと思います。独立したての頃は、自分が社員を雇うなんて夢にも思わなかったです。そもそも組織にいるのが嫌で独立したのに、なぜ心変わりしたのか。そのあたりを記していきます。
社長になって1ヶ月が経った2022年9月、この頃には様々なお仕事でスケジュールが埋まり、少しずつだけど忙しくさせてもらっていた。喜ばしい反面、体調不良でも休めないプレッシャーを感じたり、大企業との打合せや畑違いの現場で緊張を強いられる瞬間も多くなり、気づかないうちに肉体も精神もすり減っていた。
……と、カッコつけて書いてみたが、要するにこの時期になり、1人で仕事をしていることが強烈に寂しくなってきたのだ。ミスしても怒られない、成果を出しても褒められない、移動も1人、ランチも1人、咳をしても当然1人……。
誰でもいいから話し相手になってもらいたい。文字にすると気持ち悪いけど、心身の健康に保つためにかなり切実、みんな社長になったら絶対こうなる。社長は孤独との戦い、一体これは「何シック」なんだ。
そこで僕はダメ元でTwitter(現X)で「話し相手」を募集してみることに。
ありがたいことにお仕事の話を結構頂けて、いよいよ自分1人の手に負えなくなって今「ひぃー!」ってなった。コンテンツ制作系はまだよくて、ビジネスの話は勉強不足で。だから軽い気持ちで「ねぇこれどう思う?」って聞ける話し相手がほしい、スキル不要、優しい人、聞き上手、ゆるく募集、DMください
— たかはし(TP) (@takahashigohan) September 9, 2022
ありがたいことに何人かの方から応募があった。大手企業の社員さんやタレントさんからも連絡があったが、今回は「寂しい」が理由での募集のため【1番暇そうな人】として、大学生の桜井さんという子と話をしてみることにした。
桜井さんはお笑いが大好きな音大3年生だった。幼少期からトランペット演奏が大好きで音大に入学したものの、転倒して前歯を折ってしまい、そこから思うようにトランペットが吹けなくなり、音楽の道を諦めてしまう。
そうして塞ぎ込んでいたときに、たまたま『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)を聴いて笑顔を取り戻し、それきっかけでお笑いにハマり、僕を認知し、先の投稿を目にして思い切って連絡をしてきたそう。
「……という感じで連絡した感じでしゅ」と、前歯を折った影響で滑舌悪くも一生懸命説明する桜井さんに好感を持ち、晴れて「話し相手」として緩くつるんでみることになった。
桜井さんは最初は本当にただの話し相手だった。僕がカフェで作業している前にただ座り、ズズズッとジュースを飲み、画面共有をしたPCを見ながら、たまに意見をもらったり、疲れたら雑談をしたりした。謎の展示会に「社員ヅラ」をしてついてきてもらったりもした。
月日は流れ、話し相手だった桜井さんにも意見を求めたり作業をお願いする量が徐々に増え始め、それに伴って桜井さんはだんだんと仕事ができるようになっていった。
桜井さんと僕は「やれる・やれない」ではなく「やらざるを得ない」状況で成長していった。画像や動画の編集を覚え、いつのまにか撮影も少しできるようになった桜井さんは、すべての作業を70点くらいのクオリティでできるようになっていったのだ。
70点からいかに100点に近づけていくかがプロの仕事だと思うが、世の中「70点でいいから早く」みたいな仕事がたくさんあるので、かなり助かっている。