腸は消化吸収、排泄を担う消化器官であるだけでなく、病気を未然に防ぐ重要な組織です。病気にかからないカラダをつくること、また、万が一病気になったとしても、 それを治癒できるだけの免疫強化を目指しておくことが大事。消化だけでない腸の役割について、星子クリニック院長の星子直美医師に説明してもらいました。
※本記事は、星子尚美:著『腸のことだけ考える』(ワニブックス刊)より一部を抜粋編集したものです。
腸は不妊にも大きく関係している
にわかには信じがたい話かもしれませんが、実は腸内洗浄という治療法は5000年以上も前の古代エジプトでも行われていました。なんと古代エジプトの壁画には腸を洗う器具が描かれています。
また、中国医学やインドの伝統医学アーユルヴェーダの文献でも腸内洗浄はとても大事だという記載があります。
さらに、古代ギリシアの名医として有名なヒポクラテスも「すべての病気は腸からはじまる」という言葉を残し、健康にとって腸がいかに大切かを力説しています。
人類は太古の昔から腸が人間にとって大事な内臓器官だということをよく知っていたのです。
ちなみに、腸内洗浄は子宮や卵巣の病気、不妊症にも効果があります。
便秘は女性に多いことはよく知られています。便秘の女性は、宿便の重みで腸が本来の 位置よりも下に落ちていることがあります。この位置の変化が腸の近くにある子宮や卵巣に悪影響を及ぼすのです。
腸内洗浄にはそうした腸の位置の変化を元に戻す効果があるうえに、腸の血流も良くなります。その結果、子宮や卵巣の働きが良くなってそれらの病気が治ったり、不妊症の改善につながったりするケースがみられるのです。
私の患者さんのなかにも、本来は不妊治療のために来たわけではないけれど、腸内洗浄をした結果、お子さんをさずかったという方が少なからずいらっしゃいます。
腸のきれいさをキープすることが大切
腸内洗浄をすると、腸のあちこちに残る便やこびりついたアカのような老廃物がきれい さっぱりなくなり、腸内が見た目にもきれいになります。 便秘が改善され、にきびや吹き出物が治まり、お肌もきれいになります。
これは単に腸の見た目の問題だけではなく、その人が健康であるかどうかが腸の様子か らわかるということです。何度も言うように、やはり健康な方の腸はとてもきれいで、そうでない人の腸は汚れているということなのです。
腸内洗浄は腸をきれいにする一番手っ取り早い方法ですが、もちろん日々の食事や生活 習慣の改善によっても腸をきれいにすることはできます。 逆にいくら腸内洗浄をしても、毎日腸を汚すような生活をしていてはあまり意味がありません。
腸のきれいさをキープできているということは、毎日の食事の内容が正しい(カラダに 良い)ということを意味します。食べ物がきれいに消化・吸収され、不用なものは残らず排泄されているということです。
腸がきれいだと、吸収されたものはスムーズに体内で活用され、血液に乗って全身の細胞に届けられます。血液の状態も良くなり、動脈硬化も予防、あるいは改善され、心臓への負担も軽減されます。
また、細胞の状態も良くなり、新陳代謝もスムーズになります。
このように腸がきれいだと、全身に好循環がもたらされて、健康状態が向上していきます。まさに腸という組織は、その人の全身の健康とそのままリンクしているのです