自分の免疫力を高めて、ウイルスがもたらす病気にかからないカラダをつくること。また、万が一病気になったとしても、それを治癒できるだけの免疫強化を目指しておくことが大事です。そして免疫力を高める一番の近道は腸をきれいにすること。星子クリニック院長の星子直美医師によると、小腸には脳からの指令を受けなくても活動する機能があると言います。

※本記事は、星子尚美:著『腸のことだけ考える』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

小腸は脳にも指令を出している

一般的にヒトのカラダで司令塔としての機能を果たしているのは脳だと考えられてい ます。 呼吸、食事、運動、思考、学習、睡眠――これまでヒトのあらゆる活動はすべて脳からの指令によるものだと考えられていました。

ところが最近の研究によると、小腸は脳からの指令を受けなくても、さまざまな活動と 役割を果たしていることがわかってきました。むしろ逆に小腸からの指令によって脳が必要なホルモンを分泌したり、生理的な反応を促したりすることもあります。

つまり、小腸のほうが脳に対して司令塔的な役割を果たしているわけです。

そのため最近では、小腸は「第2の脳」などと呼ばれることもあります。実際に小腸の判断はヒトのカラダにとって正しく、脳より理にかなっていることが多いのです。

特に食道から胃、小腸、大腸に張り巡らされた腸管神経のネットワークは、数億個という膨大な神経細胞でできており、脳の指令を受けずに独立して働いています。

万が一、事故などでヒトが脳死状態になっても、人工呼吸器などで酸素の供給を続ければカラダは活動を続けることができます。 通常、脳死になれば、たちまち心肺停止になってしまいますが、小腸は正常に機能することができます。

心臓は脳の支配下にありますが、小腸はそうではないからです。

小腸は脳にも指令を出している イメージ:PIXTA

生物にとって最も根源的な判断をしている

小陽の基本的な働きは消化・吸収です。

われわれは毎日さまざまな食べ物を複雑に組み合わせて食べています。

ご飯、パン、野菜、バター、牛乳、豆腐、醤油、味噌、果物、肉、魚、野菜……一日に 2回、3回、あるいはそれ以上、多種多様な食べ物が口から胃を経へて小腸に入ってきます。

その際、これらの食べ物が何であるのか、消化・吸収してもよいのかどうか、消化するにはどんな酵素が必要なのかを小腸は瞬時に判断しているのです。まるであらゆる物質のデータが小腸に備わっているかのようにそれは行われます。

では、なぜ腸にそんな高度な判断ができるのでしょうか。 その答えは、生物進化の歴史のなかにあります。

地球上に誕生した最初の動物には脳などありませんでした。神経系が備わった最初の生物は、イソギンチャクのような単純な腔腸(こうちょう)生物です。臓器と言えるものは腸だけしかありません。

その腸が「栄養を摂り入れ、生き延びる」という生物の最も根源的な判断を行っていました。 つまり腸は、太古の昔から生物の生命活動の根幹であり、生きる知恵のルーツだったのです。