まさかの12分間走にも参加!
さて、フィールドプレーヤーは、フィットネスが終わると12分間走へ。
「……ボールを扱うメニューじゃないのか。せっかくだから、学生最高峰のパス回しに混ざってみたかったな」
なんて思いつつ、僕はここからは見学です。
グラウンドの端に移動しようとしたその時、栗田監督がこう言いました。
「すがやさん、12分間走までやったら?」
……監督、なんてことを言い出すんですか! しかし、断るわけにもいかずスタート地点へ。
一緒にスタートするメンバーが「自分のペースで大丈夫ですよ! 無理なく!」
と言葉をかけてくれます。優しい。これが、逆に僕に火をつけました。
「彼らに褒められたい!」
グラウンド周りを何周も走るのですが、スタートから2分でそろそろ周りのペースについていけなくなってきます。
後方からスタートしたメンバーにもどんどん追い越される。しかし、その際に、
「ファイトォ!」
とボソッと鼓舞してくれる選手もいたりして、こちらも「うぃ!」と反射的に返します。
この感じ懐かしいな!! よく考えたら、大人数でグラウンドを走ること自体、部活ぶりです。
死にそうになりながらも「同時スタート組に周回遅れはされまい!」と必死で走り、ラスト1分でどうにかスパート!
数十秒前に「ファイトォ」といってくれた子を抜き返します。彼がその瞬間、ニヤッとしました。そして、彼はさらなるスパートをかけて僕を置き去りに。そこで12分間走終了となりました。
おそらく、というか絶対に最下位です。それでも周回遅れは免れました。キャプテンの中村草太選手に「みんなは調整で走ってるんでしょ?」と聞いたところ、「いや、マジですよ!」と言われたので、まぁ健闘したのかな、と。ちなみに、僕の記録はだいたい3150〜3170mくらい。
250mくらい先にいた中村選手が3400mくらいを基準に走っていると言ってたので、間違いないはず。
いや、ここ数年そんなハイペースで走れたことないよ。自己ベスト出ちゃったよ。
憧れのチームの選手たちと一緒に走ること、そして彼らの鼓舞は、かなり僕のアドレナリンを引き出してくれた模様です。一般にプロ選手の最低基準が3200mと言われているので、3150mは33歳の芸人にしては、かなり頑張ったのではないでしょうか。
これを書いているいま思うと、この日、明治の選手は、僕の頑張りを褒めてくれなかったけど、もっと褒めてくれてよかった記録だと思います。明治の走力基準で褒めるかどうか決めないでほしい。意識を低く持ってほしい、マジで(いや、彼らが凄すぎるだけなんですけどね!)。
まぁでも、1人だけ「楽しそうに走ってましたね」と、おそらく褒めてくれたので、多分僕は楽しめていたのでしょう! ならいいか!
プロ内定組のボールタッチにうっとり
さて、僕が酸欠による強い頭痛と、アドレナリンが切れて突然の膝痛に苦しんでいるうちに、選手達はささっとスパイクに履き替え、ウェアも着替えたりします。
彼らは追い込んだ後でもキビキビと準備をして、すぐに精度の高い練習が始まります。あー、頭痛い。
最初のメニューはスクエアパス。明治のパス回し、そしてトラップの精度はゾッとするほど高く、高速。これは、頭痛なくても混ざれないな。中でも中村草太選手や熊取谷一星選手、常盤亨太選手といったプロ内定組のタッチは、繊細で際立ちます。
そして練習メニューはポゼッションへ。正直、この日が来るまで、
「参加できたら人生で一番レベルが高いロンドだわ!」
とか呑気に人と喋ってたんですが、このボール回しは絶対絶対絶対無理!!
縦長の広めの四角形を移動しながらのボール回しの練習なのですが、驚くべきは人数です。
僕が今までやってきたロンドは3対1や4対2、5対3だった(多分、ほとんどの経験者はそうだと思いますが)のですが、目の前で彼らがやってるのは4対3なのです。
4対3ってボール回るの!? 僕がやってきたチームでは、4対3なんてパス3本も繋がらず練習にならないよ!
しかし、目の前で繰り広げられるのは接近、展開、スペースメイク、ポジションチェンジと澱みなく流動的なパス回しでした。
一方の僕は、やっと頭痛が治ってきたのでマネージャーに質問。僕の一番近くでやっている選手たちのポジションを聞いたら、さらに驚くべきことが。
「彼らはDFと守備的なMFが数人です」
僕の目の前のグループ、あれみんな守備陣なの? 普通のチームなら全員10番つけられるよ!! これがプロを目指す選手たちの頂点と言える環境、恐ろしい。
サッカーファンの皆さんは、Jリーグチームの試合前のアップのボール回しやシュート練習を見て、「プロのレベルはこんな感じか」と感じる機会あると思いますが、とんでもない! 全然違いました!!
試合前の微調整のウォーミングアップとは、スピード感も精度も全然違う。こっちのが断然クオリティーが高い!!