プロ顔負けのシュートが飛び交う
その後のシュート練習でも、次々とGKノーチャンスのボールがゴールに突き刺さる!……と思っていたら、そのノーチャンスかと思われたボールをGKが次々とスーパーセーブ!! 恐ろしいレベル!!
本当に強いチームは、シュート練習の精度と、スライディングの技術が高いという持論を僕は持っているのですが、それの最たる例。彼らは枠外がほとんどないのです。DFがいない状況なら、彼らは高速のシュートをほぼほぼ確実に四隅に蹴り込めます。
そんな愕然とするようなシュート練習で、この日のメニューは終わりました。
練習後には栗田監督から、
「オフ明けだから、こうなるとは思ったけど、やっぱりダメだな」
と一つひとつの精度に関してダメ出しが。
……え!? これで!!? 僕がこれまで見てきた練習で、一番レベル高かったですよ!!!
そんな衝撃を胸に、選手たちが居残りで自主練をする中、我々は取材の準備をするために、2年前に新しくできたという選手寮へ。その移動途中、
セレッソ大阪内定のGK・上林豪選手が
「すがやさん! 面白い記事お願いしますね!!」
とプレッシャーをかけてきました。
このズケズケといけて、かつ嫌な感じがしないどころか、こちらを喜ばせてくれるのは関西人だなぁという感じだし、GK向きの気質だなぁと思いますね。
彼は直前の関東1部リーグ最終節で、相手のプレッシャーでハメられても、ワンステップで60〜70m級のキックで何度も局面をひっくり返し、流れが悪い時間帯に、PKストップで強引に流れを引き戻した強いパーソナリティを持っています。セレッソサポーターの皆さん、大きくなって帰ってきた彼に期待していいと思いますよ。
……上林くん、こんな感じで大丈夫かな!?
人間性の高さが明治大学の強さの理由
さて、選手寮は外観も内装もとても綺麗。インタビューまで少しの空き時間があったので、明大サッカーマネジメントの松村さんが寮内を案内してくれました。まず目に入ってきたのが、明治の部訓。
思いやりと謙虚さを持つ
フォア・ザ・チーム
まさに、僕が今日1日体感したことを言語化したかのような言葉です。選手のブログなどでもたびたび「明治を体現する」という言葉が出てくるのですが、1日見学しただけの僕がそう感じたということは、彼らは日々「明治を体現できているのだ」と強く納得しました。
さらに隣には2020年度卒で、現在は鹿島アントラーズに所属している須貝英大選手が当時主将を務めていて、学生が中心となって考えた『明治ビジョン2050』という、明治が2050年までに達成したい目標が張り出されていました。
そこには、「明治を体現する」というテーマをより具体的にした目標が。こうやって長い目で明治を見ているからこそ、明治を体現し、それを下の世代に引き継いでいく使命感が生まれるのですね。
サッカーのことだけ考えるのではなく、ヒューマニティ(人間性)、学校生活を同列に見ているからこそ、人間力が高く、色々なことを多角的に見て考えることができるのだと感じます。
実際に明治の練習が朝早いのは「1限にちゃんと出席できるように」という意味があり、また、プロ志望の選手含めて、全員が就活をするというルールがあるのだとか。
自己分析や、それをどう見せるのか。それが面接官にどう刺さるのか、何が刺さらないのか。そういったことを考えることは、きっとサッカー選手になってからも、就職してからも役に立つという考えがあるのだそう。この辺は、次回の栗田監督のインタビューで詳しく。
寮内には明治から巣立って、プロの舞台で活躍する選手たちの写真が張り出されていました。平均すると3~4年で戦力外になる選手が多いという統計が出ているJリーグの舞台で、長く活躍している選手が多く(しかも上位カテゴリーが極端に多く、J3でプレーしてる選手も、多くは僕と同世代か上の年代のベテラン選手)、それも明治で学んだものが生きているのだろうと感じます。
僕が常勝・明治で感じたものは、サッカーの技術だけでなく、礼節と思いやり、謙虚さ。そして知性。それらは彼らが体現しようとしているもので、それは必ず次世代にも引き継がれていくのであろう……と強く感じたのでした。