ニューヒロイン・鈴芽「チャンピオンでいる状況を100％楽しんでやろう！」

ファンも熱望していた遠藤有栖との対決が実現！

というのも、インターナショナル・プリンセス王座への挑戦は「アメリカ遠征でこのベルトを巻いていきたい」という鈴芽の希望により、このタイミングで実現しているからだ。いまのところ、その夢は現実味を増してきているが、最後の関門となるのが3.16大田区総合体育館での2度目の防衛戦。ここで敗れてしまったら、丸腰で渡米することになる。

次なるチャレンジャーはベストタッグパートナーである遠藤有栖。かねてから「いつかふたりでシングルのタイトルマッチを！」と誓ってきた。昨年の夏にシングルトーナメントにエントリーした際には「決勝で会おう！」と約束したが、ふたりとも決勝に届かず、力尽きてしまった。

そういうバックボーンを考えると、もっともっと焦らしてから実現してもいいのかな、と思ってしまうが、鈴芽が「あのとき、誓った“いつか”は“いま”なんですよ！」と笑った。

「本当はジェイダとの防衛戦で勝ったら、私が有栖をリングに呼びこんでタイトルマッチをアピールするって決めていたんですよ。でも、気がついたら、呼ぶ前に有栖がリングに来て、挑戦を表明していた(笑)。お互い、おんなじ気持ちだったんだなって思ったし、やっぱり“いま”なんですよ！」

ファンも熱望していた対決なのだが、じつは困惑する声もあがっている。「でじもん」には箱推しのファンも多く、そういう人たちは「ふたりのタイトルマッチが見られるのはうれしいけど、どっちを応援したらいいのかわからないよ〜」と贅沢すぎる悩みに頭を抱えているのだ、という。

「私たちからしたら『どっちも応援して！』ですよね(笑)。その代わり、私を100％、有栖を100％、合わせて200％の熱量で応援してほしい！　私を応援するって決めてくれた方の声援はしっかり力にするし、有栖を応援すると決めた方の気持ちもすべて受け止める。だから悩んでいるファンの方には『どんな応援の仕方でも、すべて正解だよ』って、この場を借りて伝えたいですね」

▲有栖と私、どちらも100％応援してほしい！ と話した

最高のタッグパートナーがタッグ王座獲得、そして涙の陥落を経て、今度は最強のチャレンジャーとして鈴芽の対面に立つ。これ以上なくエモすぎるストーリーだが、ここがゴールではなく、いつか、さらに上のベルトを賭けて、もっと大きな会場のメインで闘ったり、ふたたびタッグ王座に返り咲いて、いままでよりも強いコンビネーションを発揮する近未来へと、きっと直結していく。

そんな話をしたら、鈴芽はニコニコしながらも「でも、いまはとにかく目の前のことを考えることで精一杯です」と本音を漏らした。

いくつもの“いつか”と“いま”を走りぬけて、普通の女の子に見えがちな鈴芽は立派なチャンピオンになった。3.16大田区総合体育館という“いま”の闘いの向こう側には、壮大な“いつか”が広がっている。令和の新しい女子プロレスの青春物語。追いかけたいなら、いまなら、まだ間に合う！

(取材：小島 和宏)

プロフィール

鈴芽(すずめ)

1998年11月27日生まれ。茨城県出身。東京女子プロレス所属。1.4後楽園ホールでインターナショナル・プリンセス王者の荒井優希を破り、涙のシングル王座初戴冠。遠藤有栖とはタッグ”でいじーもんきー”で活動中。「鈴芽」は「芽が出て育っていく」というイメージに加え「スズメバチみたいに強く」という意味もある。X(旧Twitter)：@suzume_tjpw、Instagram：@suzume_tjpw