子どもと話していて面白いと感じた言葉
個展には絵画や立体作品も含め、様々な作品が展示されている。建築も含め、デザインなどにも造詣が深いジュニアが、今興味のあるものはあるのだろうか。
「金継ぎですね。本当に素晴らしいな、と思います。金継ぎたいから(食器を)割りたなる、くらい素晴らしいと思いますね(笑)。金継ぎしたお猪口でたまに日本酒を飲むんですけど、また格別なんです。ホンマに素晴らしい文化やなと思います」
芸歴35年。この個展の開催中に51歳を迎えるジュニアは、二人の子を持つパパでもある。ジュニアがどんな風に子どもと接しているのか気になって、印象的な親子の会話を聞いてみた。
「面白いこと言いよったなあ、と感じたのは、子どもが朝起きて、その日は旅行に行く日やったんですよ。凄く楽しみにしてたんでしょうね、“やっと明日になったぜ!”って言いよったんですよ。これはまあまあ衝撃でしたね。時系列とか文法とかを無視してるから、大人からは出てこない言葉やけど、凄く魅力的な言い回しやな、と思いました」
近年、生成AIが一般的になりつつある。「OOOっぽい漫才」とAIに打ち込むと、その芸人っぽいネタを書く事も可能な世の中になってきているが、ジュニア自身は生成AIについてどう感じているのだろうか。
「そこまでガッツリと興味があるわけではないですけど、全く否定的な気持ちはないです。やはり手塚治虫先生の新作を作れるって凄く魅力的やし、何より、今の時代は自分がデビューした時にはなかったものだらけですけど、その中の大きな一つやし、それを使って笑いを作れたら、とは思います。
ただ、今のところ、日常で使うことはないですね。別に嫌いとか、そういう事じゃなくて、単純にデジタルに移行するのに乗り遅れただけなんすよね(笑)。未だに原稿は手書きで書きますし。Instagramは唯一やっているSNSですけど、これも最初に言った、マネージャーから“やった方が良いですよ”と言われてやっているもののひとつです。「モンキーレンチドッグ」(ジュニアがモンキーレンチを使って作った犬の絵)とかはそこで初披露やったんで、やってて良かったなと思います」

映画撮りませんか?と言われたらすぐに腰上げます
個展では「プレバト!!」で披露した俳句も展示されているが、俳句を始めて大きく変わった事について聞いてみた。
「これは明確に変わった事がひとつあって。カバンを持つようになりました。俳句を考える時に歳時記(四季の事物や年中行事などをまとめた書物)が絶対に必要なので、そのためにiPadを買って、考える時間は移動中が主なので、それを持ち運ぶためにカバンを持つようになったという感じです。これまで、できるだけカバンを持たない生活を心がけていたので…、え!? 僕、昔“カバンの大きいやつはアホ”って言ってました?(笑)」
俳句を続けていく事によって、気付いた事もたくさんあるという。
「色々勉強になりましたけど、お笑いに似ているところもあるなと感じて、やはりネタにその人物が出るように、俳句にも詠んだその人間が出るんですよね。フルーツポンチの村上なんかは、こうナルシシズムが匂い立つような俳句を作ってきますし、フジモンなんかはホンマにギャグみたいな俳句を作りますし、面白いなあと思います」
会期中に51歳を迎えるジュニアが、見据えている今後について聞いてみた。
「正直、目標とかは立てないタイプなんです。というのも、これまで全て他力で来ていると思ってて。芸人になりたいって言った事もなかったし、東京に行きたいって言った事もなかったし、小説を書きたいと言った事もなかった。全て周りの人に決められたことをやってきた35年間で、51歳を迎えるのでここから目標を立てるというのもねえ……って思ってます。
ただCMとか映画とか、映像を使った表現とかはやってみたい事のひとつではあります。正直、10年前くらいに映画撮らへんか? って言われた事もあって、その時はそこまで腰を上げる感じじゃなかったんですけど、今“映画撮りませんか?”って言われたら、すぐに腰を上げます。やってみたいです」
最後に、以前YouTubeで賞レースで審査員をやる事について「今は断るつもりはない、オファーが来たらやりたい」と言っていたが、これも千原ジュニアの新しい側面になるのでは、と思って聞いてみたところ“いやあ、そう思ってたんですけどね”と答えつつ、こう明かしてくれた。
「やってみたいなと思ってたんですけど、去年のM-1を見たら、審査員が全員僕より後輩やったんですよ。ああ、もうこれは僕の出る隙はないな、と思ったんです。世代が上の俺が出ていく事もないかな、と思ってますね」
会場:PARCO FACTORY(池袋PARCO 本館7F)
会期:2025年3月14日(金)-31(月)
入場料:1,000円(大喜利フリップ付き)(税込)
※入場は閉場の30分前までとなります。
※最終日は18:00閉場となります。
〇作、千原ジュニア展