セリフの練習より、演じる役柄が置かれている状況に重点を
――お仕事のことについてもう少し聞かせてください。天海祐希さんを尊敬されていて、今、同じ事務所に所属されて昨年公開の映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』で共演もされました。現場でご覧になった天海さんはいかかでしたか?
平澤 : 天海さんのオーラが本当にすごくて、天海さんがいるだけで空気全体が変わるんです。明るさもあり、どっしりと構えられてもいるあの感覚は天海さんならではで、誰よりも現場を楽しんでいらして、役を楽しんでいることが伝わってきました。それに負けないように、私も必死でした。セリフの言い方もいろいろ試して、こちらに渡してくださり、それを受け取った私がどう動くかまで楽しんでらっしゃって。
――とてつもなくすごい現場だということが伝わってきます。
平澤 : いつも真っすぐ目を見て話してくださって、全部伝わってくるんです。だからこそ、“今のは違ったかもしれない”という反応にもすぐ気づけた気がしました。本番ではお互いにすごく集中した感覚がありましたが、あの体験はすごく楽しかったです。
――そんなふうにお芝居にぶつかって、天海さんもやりがいがあったでしょう。
平澤 : そう思っていただけていたら、本当に嬉しいです。
――すでにドラマも映画も、多数携わっていますが、作品入る前に必ず心がけていることがあれば教えてください。
平澤 : 割と何かを抱えていたり、重たいものを背負ってる女の子を演じることがこれまで多かったので。その要素を自分の中でどう現実的に落とし込むか準備をします。作品の題材にかかわる知識を入れたり、人間観察をしたり。背景を調べて分析もします。そのほうが自分の中で安心材料になるんです。何も分からなくて予測ができないのが苦手なので、なるべく引き出しを増やしておきたくて。
――セリフを憶えるだけではなく、その背景まで。引き出しも相当多そうです。
平澤 : セリフの言い方を練習するより、演じる役柄が置かれている状況、その子の過去など、もしかしたら使わないかもしれなくても、そういう背景がないと自分自身が安心して現場に入れないんです。監督とお話していても、自分の中の引き出しにあれば監督の話も理解できるし、提案もできるかなって。
――過去に準備をしていなくて困ったことがあったのでしょうか。
平澤 : はい、ありました。キャラクターのイメージを固めて、いざ演じてみたら、監督の印象と違ったみたいで。監督のイメージと一致しなかったとき、頭が真っ白になって、セリフがストンと全部抜けた時がありました。そこからいくつか解釈を持っていくようになりました。
――さすが芸歴15年、17歳とお話しているとは思えません。お仕事に対しては柔軟に対応されている印象がありますが、逆にずっと続けていることはありますか? お仕事でもジンクス的なことでもあれば教えてください。
平澤 : 子どものころから湯船につかることが自分なりのリラックスになっていて、お仕事が詰まっている時や大事なときは湯船に長くつかります。普段、お布団に入っても色々考えるタイプなんですが、お風呂だと考えずにほっこりできるんです。一時期、サウナにもハマったこともありました。私は長く入っちゃうから、友達は誘えなくて、ひとりで行ったりしてました。
