初の大学生役は、街中で観察することからスタート
――新作のドラマの話も聞かせてください。現在放送中の金曜ドラマ『DOPE麻薬取締部特捜課』は、“DOPE”という新型ドラッグが蔓延する近未来の日本のお話で、その薬物を取り締まる特捜課の皆さんは不思議な力をお持ちです。平澤さんの役どころは、特捜課の課長である葛城康介(三浦誠己)の娘で、今どきの女の子である葛城莉子役で出演中です。現場の様子はいかがでしょうか。
平澤 : 現場全体が一丸となって、キャストさん同士、スタッフさん同士も話し合いを重ねて、ひとりでも欠けたら成立しない!という感覚がありました。でも休憩中はみんなで話したりして本当にいい現場です。
――このあと、4話では見どころが多い役どころです。
平澤 : これまでのほっこりしたシーンではなく、一気にテイストが変わると思います。今回演じる大学生の役自体が初めてだったので、街中で大学生と思われる年代の方を観察しました。年齢的にちょっと背伸びをする役ではあるから、その背伸びがすごく無理しているように見えたら嫌だなと思って、なるべくリアルを追求したくて。
――リアルな大学生は、リアル高校生から見てどう違いましたか?
平澤 : 皆さんテキパキ動いているなと思いました。別に何かに急いでいる雰囲気はないんですけど、友達やグループで話しながら歩いていても、高校生の私たちが歩く速度よりも圧倒的に速くて。でも、会話のテンポはゆっくりなんです。それは落ち着きが出て、余裕が出てそうなるのかな……と分析していたんですけど、自分のペースを持っていると感じました。小中高は団体行動が多いけれど、大学になると自分のペースで自分の勉強をするから、その差なのかな。時間を少しでも無駄にしたくないようにも思いました。
――そんな分析が! その観察がお芝居にも生かされているんですね。
平澤 : スピード感の部分は役の中に持っていきました。今まで私のことを見てくださっていた方は特に驚くと思います。大学生も友達と過ごしてるときのペース、家族と過ごすときのペースは多分違っていて、家族とは甘えてゆっくりして声のトーンも下がるだろうし……、と、そういうことを常に意識しました。
――今回、俳優として新たにチャレンジしたことはありましたか?
平澤 : 今回、薬物がテーマになっているので、薬物に対しての考え方や、罪の意識を自分に落とし込むということをしました。これまで薬物自体が遠いもので、犯罪にも俳優としても触れてこなかった部分で。実際、自分が警察と関わるという状況も想像できなかったんです。資料を読んだりするだけではしっくりこなくて、お菓子のタブレットをジッパーバッグに入れて薬物に見立てて、1カ月くらい、自分のポケットに忍ばせて歩いてみたんです。
――そんな体験まで!
平澤 : 思い込むことで、自分が悪いことをしている感覚はあるんですけど、友達に会うときはそれを一瞬忘れる瞬間があって、罪についても意識していなくて。でも、友達がふとトイレに行ったりとかすると、急にこのポケットの中の存在に引っ張られて、意識して警戒してしまう自分がいたんです。自分の想像の中ですけど、逮捕されるかもしれない……という感覚を初めて体験して、役者として成長できたと思います。

――すごいお話を聞かせていただきありがとうございます。残念ではありますがそろそろお時間なので最後の質問に。特技に、殺陣、着付け、茶道があり、どんなお芝居が来ても対応できそうですが、新たに準備していることはありますか?
平澤 : 小さいころからアクションに興味があって、ずっと準備をしています。そこにプラスして、どんなお芝居にも必ずかかわってくる“命”についても追及しています。自分が殴られる場合も、受け身を取るにしても、自分の命も相手の命もすべて背負ってやっていると思うので、その命を預かっている感覚を持つようにして、お芝居として特訓しているところです。
――17歳でそこまで考えてお芝居をしているだなんて……。
平澤 : 命に対しての意識が抜けてしまった瞬間に、ひとつの行動がすごく軽くなるんです。例えば、銃を構えるだけでも。相手の命を意識するとすごく重たくなるし、自分の中で意味ができるんですけど、何も考えずにただ銃を向けちゃうと、本当に何も感じなくなって撃てちゃうんです。だからその部分を意識して、繊細なお芝居ができるように、今は特訓中です。

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