毛布の選び方

高野:そういう話を聞くと、僕的には意外だなって感じます。毛布をおしゃれに昇華されてる方って、なんというかロジカルな感じの方かなって思っていたんですが、そうではなくてストーリーとかそういうのを大事にされている方っていうのがすごく意外で、より素敵に見えますね。

江頭:ありがとうございます。あと、そういう個人的なエピソードだけではなく、そこから例えば日本の毛布、“なんで花柄が流行ったんだろう”とか文化的な背景も考えて、日本全体とか世界全体の話につながっていくのが面白いなと思ってます。例えば花柄毛布だったら、戦後流行った薔薇柄だったりもするので、なぜ西洋の柄なのに日本で流行ったのかとか。そういう文脈が作品に説得力を与えるような気がします。

高野:作るときは、生地の柄先行ですか? それとも作りたいものがあって、それにあった生地を選ぶとか。

江頭:そうですね。毛布自体はランダムに買い漁ってはいるんですけど。モチーフは展示のテーマにあわせて選んだりはしています。常にゴールはないんですけど、自分のやりたい考えが先の場合もあるし、このビジュアルを具現化したいというのもあって、後から言葉を足していくというのもあります。

高野:この毛並みというか、毛の長さが違っているんですけど、どういう違いがあるんですか?

江頭:これはアクリルの毛布で化学繊維でできていて、起毛が長いんですけど、綿毛布は綿でできていてちょっと生地が薄いんですよ。昔は結構あったんですけど、最近はほとんど見ないかもしれません。綿毛布は、割と形がはっきり出やすいかなと思います。

最初のころは綿毛布でいろいろ形を作っていたんですけど、生地が厚くて中身がわからなくなっていく方が面白いんじゃないかとも考えて。バックグラウンドを想像するように、これを見たときにイヌなのかネコなのかクマなのか、見る人が考える余地がある、その余白を残せたらいいなと考えています。見る人がネコと言えばネコでも全然いいんですよ。

高野:そうですね。面白いですね。でも、もちろん形作るのも本当に難しそうですよね。

江頭:今年で(毛布を使った作品を作り始めて)10年目なんですけど、だいぶ慣れたので、半目ぐらいだったらできます。

高野:本当ですか!

江頭:形を追えばいいので。

高野:(置物作品を見ながら)これ、中の物(包まれている物)にはもう触れられないですよね。

江頭:この中は、リサイクルショップでもオブジェを探してきたワンちゃんの陶器です。僕、リサイクルショップを巡るのが大好きで、使い古されたものにすごく興味があるので、暇さえあればリサイクルショップに行ってオブジェを買ったりしています。最初は作品のために買ったオブジェでも、どんどん愛着が湧いて毛布を貼れなくなっちゃうんですよね。可愛すぎて貼れないと思って、同じようなのを探してそっちに貼るみたいなこともやったりします。

高野:へぇー! お家にそういう置物が溜まってるんじゃないですか?

江頭:そうなんですよ。もう大変なんです。旅行も大好きで、旅行に行くとまず神社に行ってお参りをして、よろしくお願いしますと、お参りをしてからリサイクルショップを巡る流れがあります。見えないものを信じているんです。スピリチュアルな感じかもしれないですけど、そういう神様的なものだったりも好きですね。

高野:お宝を見つけ出してくれるんですか。

江頭:そこは自分の力なんですけど(笑)。事故が起きませんようにとか、怪我しませんようにぐらいなんですけど、まず神社へ行きますね。八百万の神みたいなものに宿るものを多分いい距離感で信じてるんだと思います。でも、これは(盆栽)オリジナルというか、骨董品ではなくて、造花の盆栽を購入して作っています。

高野:そうなんですね。

江頭:枝まではもともとある造花のものなんですが、このモフモフの部分は自分で形を作って貼ってて組み合わせたりしていますね。(服を手にとって)これも実は既存のワークマンの作業着を。

高野:ワークマンですか。

江頭:中身はもう普通に。本物の服なんですけど。

高野:ええ! マジですか! こんなに進化するんですか。

江頭:服の上から縫い付けてます。

高野:すごい。

江頭:これは静岡で行われた芸術祭のとき、そこで手伝ってくれるおじさまおばさまがいたんですけど、その人たちが主役だなと思って、その方たちにこの服を着てもらったんです。これも日よけの帽子ですね。

高野:かわいいですね、すごい。あったかそうでいいですね(笑)。

江頭:確かに(笑)。これも本物の掛け軸に貼ってこういう風に作ったりしてますね。この柄は僕がランダムで毛布から端から切り取って作ってるんですけど。掛け軸とか置物もそうなんですけど、物を飾る場所がどんどんなくなってきているというか、家もどんどん小さくなってきてるし、床の間って昔和室に物を飾るためだけの空間があったんですけど…。

高野:兜とかをよく飾ってますよね。

江頭:そうです、そうです。今はまず無いので。物を飾るだけの空間があるのは素敵だなと思って。心に余裕があるというか。効率的じゃない非効率な感じも好きなので。そういう意味も込めて掛け軸とか置物をモチーフに選んだりは結構してますね。