変な奴ばっかりじゃねぇかよ

そして3回戦の当日。
当時は3回戦から会場が「ルミネtheよしもと」で行われていた。

お客さんとしてしか来たことのない場所でまるで観光客のように、
「舞台裏、こんな感じなんだ! へー! すげぇ!」
と思いながらキョロキョロしているとやたら派手な格好をしている二人組を見つけた。

我々も名前が「パーティーズ」で見た目もややチャラい雰囲気だったが比べ物にならないくらいチャラい。

オレらが蛍光灯くらいの明るさだったとしたら、その二人組は六本木そのものくらいの明るさだ。

その二人組のコンビ名は「SCANDAL」という名前だった。

まあ3回戦まで来ているということは、そこそこやるのだろうと勝手に品定めをしていると、さらに奇抜なマッチョのモヒカンの男とおかっぱの少女の二人組がいた。

「変な奴ばっかりじゃねぇかよ」

石原は昔から変な奴がいると変な奴と言うタイプである。

まあ確かにと思いながら、スタッフさんの誘導で出番順に舞台袖に行くと、石原に変な奴認定されていた2組が我々の1つ前と2つ前に並んだ。

派手な2組、オレらのすぐ前か。

変な感じになってやりづらくなったら嫌だなと思いながら舞台袖から様子を伺う。

「ポンポーン!」
「ヒィヤァ!」

と謎の言葉を発しながらチャラい2人が舞台に出て行くと、チャラい見た目からは想像もつかないめちゃくちゃ面白い漫才でとんでもなくウケている。

飛び道具系の笑いではなくしっかりとネタでウケてる。

コンパスでも描けないほど目を丸くしてると、次にマッチョモヒカンとおかっぱ少女が舞台に出て行く。

この2人もドカドカウケる。

おかっぱ少女がツッコミを入れるたび、拍手と笑いが同時に巻き上がる。

あっという間に自分たちの順番が来たのだが、面食らったフワフワした状態でネタをやってしまった。

完全に手前の変な奴らに飲まれた。きっとお客さんの印象にもほとんど残ってないだろう。


その後の結果は予想通りだった。パーティーズは3回戦敗退。

マッチョモヒカンとおかっぱ少女は、
「完熟フレッシュ」
というコンビで準々決勝に進み、年末には『おもしろ荘』に出演し知名度を全国区にした。

「SCANDAL」と名乗っていたチャラい二人組も、その後
「EXIT」
と名前を変えて、M-1の3回戦のネタ動画も話題になりあっという間に売れていった。

オレらはというと、いつもと何も変わらない何もない年末を過ごした。

そこで初めてきちんとキャラクターを入れるのってアリなのかなという考えがよぎった。

そこから何年か頑張ったが、石原と方向性が違うということで解散する事になった。

石原と進む方向が変わったのは2017年のあの変な奴らがキッカケの1つになっている。

そこから時が経ち2025年。

ぱーてぃーちゃんの他に「カリスマ3」という、リンダカラー∞のDenとカカロニの栗谷さんとのユニットでM-1の3回戦に挑んだ。

石原が言った変な奴の最終形態のようなユニットだ。

何かインパクトを残さねばとM-1では禁じ手である小道具を準備した。

ネタの最後にM-1優勝した時にもらえる1000万と書いてあるデカいパネルだ。

そして自分達の出番が近づき舞台袖にパネルを置くと、2025年でラストイヤーのカナメストーンさんがネタをやっていた。

15年間真摯に漫才と向き合ったカナメストーンさんはとんでもない爆笑を巻き起こしていた。

爆笑を取るかっこいい漫才師の背中を見ながらパネルに目をやるとDenも栗谷さんも恥ずかしそうな顔をしていた。

もちろん自分達の出番ではカナメストーンさんの大爆笑に飲まれてしまった。

2017年は変な奴らに飲まれてしまったが、2025年は自分が変な奴らになって漫才師に飲まれてしまった。

結果は、カナメストーンさんは準々決勝に進み、カリスマ3は敗退した。

結局見た目やキャラが変な奴らうんぬんでは無い。


オレが飲まれやすすぎるということだ。

これだから面白いよ。『M-1グランプリ』

次回、反省第13回「若手の老害」は2月20日(金)更新予定です。お楽しみに!!