アーティストでもあり俳優でもある高野洸が、対談を通してアートの世界に触れ、表現を学ぶ連載「お訪ねアトリエ」第8回。
ゲストはMika Pikazoさんです。
前編ではアイデアの原点ともいえる幼少期の頃のお話しや、現在の作品の鮮やかな色彩と魅力的なキャラクターデザインに繋がるこだわりの部分などのお話しを伺いました。
今回はMika Pikazoさんに高校卒業後に行かれ、様々な影響を受けたというブラジル移住、またプロとしてお仕事をされている現在のお仕事へのスタンスなどを聞いてみました。
ブラジル移住のおかげで広がった“色の世界”
高野:プロフィールを拝見させていただいたんですが、高校を卒業されてからその後ブラジルに行かれたんですよね。高校時代もデザインの勉強をされていらしたんですか?
Mika:工業系の高校で、グラフィック系の広告デザインを勉強していました。
高野:じゃあ、高校入学する時も、一応そういう職業になりたいなっていうのはあったんですか。
Mika:ありました。イラストレーターになりたくて。でも、もともと映像だったりとか、パッケージデザインとか、そういったものにすごい興味があったので、アナログで鉛筆や絵具を使うというよりデジタルのPhotoshopとかIllustratorを使って、どういったものをつくるかっていう方向に興味が行きました。
高野:で、卒業されて、そこからはブラジルへ。
Mika:はい、大体2年半ぐらいいました。
高野:なぜブラジルに行かれたんですか?
Mika:親戚に日系ブラジル人の方がいて、その方々が日本にずっと住んでいたんですけど、ブラジルに引っ越そうっていうタイミングで、親戚の集まりが日本であって。元々ブラジルの映画や音楽がすごい好きだったこともあって、ブラジルにめっちゃ興味があるって話をしたら「よかったら来なよ!」みたいな気軽な感じで誘われまして。大学進学とか、どうしようかなと思ってはいたんですが、フラフラと何も考えずに行きました。
高野:いいですね。当たり前ですけどブラジル、遠いですよね。25~27時間かかるんですよね。
Mika:はい、遠いです(笑)。
高野:でも面白そうですよね。未知の世界。ブラジルでは何が一番刺激的でしたか。
Mika:それこそサンバもサッカーも、いわゆるブラジルらしいものはいろいろ見てきたんですけど、一番衝撃を受けたことはブラジルの方は人間性がとにかく良い人が多いです。危険な治安とかもそういったところもある反面、すごい人が優しいんですよ。友達のこともすごい気遣うし、自分たちの家族だけじゃなくて、親戚とかも毎週のように会って、元気だった? みたいな。
毎日電話していたりとか。私、高校生まで東京で育ったので、東京での距離感がある雰囲気やも人と人は他人である感じがすごい好きなんですけど、ブラジルって仲間の感覚がすごい近いし、毎週パーティーがいろんな場所で開催されていて衝撃でした。 日本人と全く違うっていう国民性というか陽気さに感動して(笑)。
高野:滞在期間は最初から2年間と決められていたんですか。
Mika:全然。もう2年以上、ずっといたいなって思っていました。向こうで仕事とかもしてて。
高野:そうなんですか。向こうでの仕事は絵の仕事ですか。
Mika:ブラジル人にイラストを教えていました。こうやって顔のパースを引いて描けば NARUTOのキャラが描けるようになるよとか。当時はソードアートオンラインとか、セーラームーンとか、日本の作品のファンが多かったので、そこからこうやればこのキャラクターができる、こうやれば背景ができるとか、キャラクターデザインが作れるとか、そういったことを現地の人に教えてました。
高野:ずっとブラジルで生活続けていってもいいなと思っていたんですね。
Mika:すごい楽しかったので。
高野:でも、日本へ戻るという道を選んだのには何か理由があったんですか。
Mika:やっぱりブラジルにいる時も日本の仕事をやりたいなとは思っていて。イラストの仕事をやりたいけど、なろうとしてないみたいな状態で。でもブラジルに行って、イラスト教えながらも自分でも絵を描いていて。もっと上手くなって、もっと仕事とかやってみたいっていう気持ちが生まれていた時に、たまたま日本に一回帰ってみようってことがあって。
高野:で、その時に新たな刺激を受けたりされたんですか。
Mika:日本で、いわゆるコミケにイラストレーターの友人のお手伝いで出て、それこそたくさんのイラストレーターさんにもお会いして、もっと東京でいろんなお仕事を受けてみたいし、いろんなクリエイターさんとも会ってみたいって、すごい刺激を受けました。
高野:ブラジルに行かれる前も、日本で仕事をされていらしたんですか。
Mika:依頼を受けてのお仕事とかはしていなかったですね。ブラジルにいる時に初めて1、2件案件、依頼が来て、うわ、すごい、ネットにイラストを上げていたらお仕事って来るんだと感動してました。
高野:ブラジルに行かれる前と後では、絵のテイストも全然変わったんですか。
Mika:元々カラフルな色とかすごい好きだったんですけど。ブラジルってほんと何でも色が派手なんですよ。花も輝くくらい真っ赤だったり水色で。加工しない出せないような色が至る所にすごくあふれていて。実際にこういう色ってあるんだっていうものが、現実にあるっていうのは向こうで知って衝撃を受けましたね。
高野:確かに。派手すぎると自然じゃないとか、そう思っちゃいますけど。それがあったんですね。
Mika:あったんです(笑)。逆に日本はいい意味で色が薄い。海外から帰ってくると水墨画のような色に感じる。すごい感動しましたね。日本の伝統的な色って本当に日本の色なんだ。それぐらい、ブラジルもそうですし、全然見えている景色が違うんだなって。
高野:面白いですね。そんなに違うんですね。国によって文化とかじゃなくて、自然の色が違うってのが面白いです。天候とか気候とかの影響なんですかね。
Mika:広がり方が違うんですよね。空とか色も違ったりして。派手な植物のイメージもありますね。野原とか日本には咲いてない花とかがたくさんあるから。
高野:違うんでしょうね。きっと色彩感覚も違いそうですしね、現地の人と。
Mika:そうですね。ブラジルでは家の壁もペンキで派手な色を塗りますね。三色以上の色を使ってるのが基本で。 日本では、そんな色塗ってたら住宅街で目立ってしょうがないみたいな。目立ちすぎちゃうかもしれない。
高野:もともと派手な色あいが好きな上に、さらにブラジルに行かれて余計に。
Mika:色が広がったって感じですね。全然、色がうるさいなとは感じなくて。相性が良かったというか、そのままスルッと。引き寄せられています(笑)。
高野:確かにありますよね。そういう自分の心に、よく分かんないけど引き寄せられる好きなものとか空間とかあります。


高野洸



