魔封波かよ。

「じゃあ始めていきます。まずこの瓶の蓋を開けて」

言われるがまま瓶の蓋を開ける。

「そしたら石を瓶の中に入れて」

瓶の中に石を何個かいれると霊能力者の方はゆっくり目を瞑った。

何をしてたらいいかわからず、とりあえずオレは逆に目を見開いた。

なんか部屋の中の空気が変わった気がした。
そう思った瞬間、霊能力者の方は立ち上がりオレの左肩を掴んでこう叫んだ。

「皿から瓶を離さないように蓋を閉めて!」

当然の指令に焦りながら瓶の蓋を閉める。

霊能力者の方はオレの左肩からゆっくり手を離して

「終わったよ」

と優しく微笑んでくれた。

お皿をよく見ると綺麗に半分に割れていた。
お皿には全く手を触れてないのに割れていたのだ。

いや怖ぇーーー。
マジかよ。ほんとにこんなことあるのかよ。
驚きと恐怖で部屋はシーンとしている。

オレの左肩を触った霊能力の方の手を触ると氷のように冷たくなっていた。

この人は本物だ。
疑っていた訳ではないが目の前で起きた事は紛れもなく本当だった。

「おじいちゃんの悪い部分は瓶の中に入れたから自分の家の薄暗い所で保管しておいてね」

オレのじいちゃんの悪い部分ドランゴンボールのピッコロみたいに瓶に閉じ込められてるのかよ。
魔封波かよ。

そこからじいちゃんはどうなったかと言うと、その当時お金が無くて同期の芸人の安心安全のようちゃんの家に転がり込んでいたので、ようちゃんの家の玄関の靴入れの奥にじいちゃんを保管することになった。

ようちゃんも最初は
「なんで僕の家に知らないおじいちゃん置くんですか」
と文句を言っていたがしばらくすると、
「おじいちゃんも居心地の良い部屋にしたいですね」
とオレと同じようにじいちゃんも受け入れてくれた。

なんて安心で安全で優しいやつだよ。

そして問題はここから。

しばらくしてから、オレも自分の家を借りることになりお世話になったようちゃんの家から引っ越すことになった。
ただオレもようちゃんもおじいちゃんの存在を忘れてしまって、おじいちゃんはようちゃんの家に置きっぱなしにしてしまったのだ。

そこからはようちゃんは一度も引っ越していないので、ずっとすがちゃんのおじいちゃんとようちゃんの2人暮らし状態になってしまっていた。

そして今から一年前。
とある心霊番組に出演することになった時、この話を思い出した。

番組のスタッフさんも興味を持ってくれて、スタッフさんがようちゃんの家からおじいちゃんを回収して、本番でオレがおじいちゃんと対面することになった。

ようちゃんにおじいちゃんを置きっぱなしにしていたことと、それをスタッフさんが回収しに家に行くことを説明すると、

「了解でーす」

とだけ返ってきた。

ようちゃんとはこうゆう人間なのだ。
何にも動じず、狼狽えない。

そして8年ぶりにおじいちゃんの瓶と対面すると、なんと瓶の中の石の色が変わっていたのだ。

まさかの展開に元々蓋を開ける予定だったのだけど、開けない方が良いんじゃないかということになり、一旦開封は保留することになった。

そして番組が終わった後、おじいちゃんは今日また持った呪物コレクターの方が預かってくれることになった。

このオレが体験した不思議な話。

色々起きたこの話の何が不思議かというと、ようちゃんはなぜ何年もの間おじいちゃんを忘れて置いていたのに何も思わなかったのか。

そこが一番の不思議だ。

次回、反省第17回は6月20日(土)更新予定です。お楽しみに!!