鈴木萌花の心の時計は夢と希望を刻み続けている
「昨年までは私たちもあんまり前が見えていなかったんですよ。先々のスケジュールもなかなか出てこなかったりしたので。
でも、今年に入ってから、それがかなり改善されて。中止になってしまったけれど、結構、先まで予定が発表されていたし、ひとつひとつのライブに関しても、スタッフさんから『これはこういう意味がある。そして、これが次につながります』みたいな説明がしっかりあるので、その部分では安心して活動できるようになりました。
本当に2020年は突っ走ろうと思っていたので、ライブができなくなってしまったことは残念なんですけど、とにかく、今、できることをやるしかないですよね。あっ、この時間を利用して、お家で筋トレを毎日やってます! いままでも『筋トレ、ちゃんとやらなくちゃな』と思いながらも、いつも三日坊主になりがちだったんですけど、この期間はおかげさまで続いています。
今、いろいろな形で発信をさせていただいて、はじめて私たちのことを知ってくださる方も多いと思うんですけど、次にライブをやるまで、そういう方たちの気持ちをしっかりつなぎとめておかなくちゃいけないと思うし、やっぱり、ライブでアメフラっシを好きになってもらいたいんですよ! だから、その日が来るまでいろんな面を磨いていきたいなって思います。やっぱり、うーん……ライブがしたいです!」
メジャーデビューという夢が、ぼんやりと眼前に迫ってきているタイミングでの足踏み状態はたしかに辛いものがある。だが、自分たちの技量を存分に磨く時間ができた、と考えたら、また違う景色も見えてくる。
「テレビやラジオから有名なアーティストさんの曲が流れてくることってあるじゃないですか? あまり興味がないアーティストさんでも、そういう方たちの楽曲って、心が動かされるというか、すごく心に響くものがあるじゃないですか?
私たちもそうなりたいですね。アメフラっシのことをまったく知らない人が聴いても、心を突き動かすことができれば……そうなりたいってことは、まだなれていない? あーっ、そうですねぇ~。なれていない? うーん……いや、なれるように頑張るっていうか、私たち、もっともっとできると思います!」
一度は芸能界から去ることすら考えた鈴木萌花が、こうやってしっかりと前を向き「もっともっとできる!」と近未来のアメフラっシに希望を託してくれた。
ライブだけでなく彼女の誕生日や高校卒業を祝うイベントもすべて中止となってしまった2020年春。止まってしまったように見える時計の針も、鈴木萌花の中ではしっかりと明日に向かって、夢と希望を刻みつけている――。
【連載17回目の追記】
突然、奪われた、高校3年生の時間と、メジャーデビューに向けた機会。それでも鈴木萌花は4人と共通の夢に向かって前だけを向いている。そう、彼女の心の中の「夢と希望」という時計は、いま現在も時を刻み続けているのだ。