萌花の地声が大きくなった理由とは?
新型コロナウイルスの感染拡大により、日本中のエンターテインメントが凍結されてしまう直前、愛来と鈴木萌花は新しい挑戦をしていた。
それは、舞台――。
劇団五反田タイガーの7th Stage『WORKER ANTS と 働かないアリ』に、ふたりは“女優”として出演することになったのだ。
愛来は昨年、ももクロの明治座公演に出演しているほか、サムライロックオーケストラへの出演経験もあるが、鈴木萌花にとってはこれがはじめての経験。くわしくは後述するが、とにかくセリフが多い役回りなので、初舞台にしては、かなりハードルは高くなってくる。
「そうですね。最初にお話しをいただいたときは嬉しかったんですけど、台本をいただいた瞬間に、これだけのセリフ、覚えられるかなぁ~って(苦笑)。それに、いままでに経験のないことなので、自分が舞台に立っている姿が想像できないんですよ。だからセリフが頭に入ってくるまでは不安しかなかったですね。大丈夫かな?って」
物語は働きアリの世界で展開される。
つまり、鈴木萌花の役は「働きアリ」である。
人間はひとりも出てこない。
登場するのは擬人化された昆虫だけ。
そんな特殊なシチュエーションの中で、鈴木萌花は主役の「働かない働きアリ」の言動に対して、いちいち大声でツッコむという役割を与えられていた。主役が堕落したことを言うたびに「それはおかしいだろ! 本当はこうだろ!」とツッコみまくるので、中盤まではヘタしたら主役よりもセリフが多いぐらい。当然、出番も結構ある。間違いなく観客の印象に残る“おいしい役”だった。
客席から観劇していた小島はなと市川優月は、いつもの鈴木萌花のキャラとはまったく違う役柄に驚きつつ、最近、やたらと地声が大きくなっている理由がわかって、「そういうことか!」と納得していた。
稽古でも本番でも、ハイテンションで畳みかけるように叫んでいたら、いやでもボリュームは大きくなる。それと同時に、これを新しい武器としてアメフラっシに戻ってきてくれることを2人は確信していた。