韓国が目指すのは「連合国家」
一方で、韓国が主張しているのは連合統一です。北朝鮮の「連邦」に対し、韓国は 「連合」ということになります。
この連合統一案は、韓国では歴代の大統領が、案を微調整しながら各々提唱してきましたが、なかでも金大中政権における提唱は、北朝鮮のいう連邦案に酷似していて、共通点が多かったのが特徴です。
実際、金大中大統領が2000年6月に平壌訪問したときにも、そのことが話題になったといいます。
会談内容はオープンにされていませんが、金正日委員長と金大中大統領との間でも、共通点が非常に多いという話になり、双方を合わせたような方向で統一を目指すことが話し合われたといわれています。
具体的にいうと、その内容は、三つの段階を経て統一を実現しようとするもの。最初から一気に連邦政府を作ってしまおうという北側の案との違いがあります。
まず第1段階は、「一民族、二国家、二体制、二独立政府」の基本方針のもと、南北の二つの独立国家が異なる体制を維持したままで国家連合を形成します。
次に第2段階として、「一民族、一国家、一体制、一連邦政府、二地域自治政府」を構成、すなわち一つの体制の下に、重要な内政や、外交、国防を中央政府が掌握し、細かい内政は二つの自治政府が各々で担当するというもの。
国家元首である連邦大統領は統一憲法にもとづいて選出します。そして、最後の第3段階で完全な統一を実現するというものです。
韓国と北朝鮮が平和共存する「夢」
当時、首脳会談後の共同宣言では、「南と北は国の統一のために、南側の連合制案と北側の低い段階の連邦制案に共通性があると認定し、今後この方向で統一を志向していくこととした」と発表されました。
いずれにしても、韓国としては短期的には統一を求めずに、まずは連邦的な形で緩やかにまとまり、双方が平和共存体制を確かなものとする。
そのうえで、段階を踏みながら徐々に「連合」という一つの国家にもっていくというのが、今も韓国サイドの基本方針となっています。
連邦と連合の違いはあるとはいえ、統一そのものは北朝鮮側も目指しているわけです。この大看板を取ってしまったら、北朝鮮でも政権維持はできません。
結局、統一というのは朝鮮民族にとって「夢」なのです。果てしない夢。夢がなければ人は生きていけません。