「風邪かな?」というとき、これまでならさほど気にとめなかった人でも、コロナの収束が見えない今では「早く治さねば」と、周囲に対して気をもむはず……。そこで、どうしても防ぎきれなかった風邪をいかにして“最速”で治すか、その対処法について、名医・今津嘉宏氏に効果的な対処法を紹介してもらった。

※本記事は、今津嘉宏:著『最強の免疫力』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

風邪治療のカギもやはり「免疫力」

うがい、手洗い、そして日々の食事と気をつけていても、やはり風邪を防ぎきれないときがあります。

それは予防方法を熟知している医師でも同様です。もしも風邪を引いてしまったと気付いたならば、最速で対処することが大切です。

初動が遅れて無理をしてしまっては、二次感染を招いてどんどん風邪が長引いてしまいます。そうなると日常生活に支障をきたしてしまいますよね。

▲風邪治療のカギもやはり「免疫力」 イメージ:PIXTA

風邪の引きはじめには、かならずなんらかの兆候があるものです。寒気がしたり、のどのあたりに違和感を覚えたり、なんとなくだるさを感じたり。それら風邪のサインを見逃さないようにしましょう。

みなさん、それぞれの仕事や家事など日常生活に即したサインがあるかもしれません。

例えば、わたしにとっての風邪のサインは、診療中に患者さんと話していると声が出なくなってきたときです。

わたしは、そのサインを感じるとすぐに次のような対処に動きます。

  • 首もとを冷やさないように診察中でもネクタイを締める。
  • 足もとを温めるために靴下をもう1枚重ねる。ただし、ゴムの跡がつくようなきつい靴下だと血行が悪くなって、かえって冷えを促進してしまいますから、ゴムがゆるめの靴下を常備するようにする。
  • 昼食にはネギやショウガなど薬味をたっぷり入れたうどんを選ぶ。

わたしが取っているこれらの行動は、すべて風邪の引きはじめの段階で「からだを温める」ために行うことばかりです。

わたしたちは、風邪の病原体に感染したら、まずからだの免疫をパワーアップさせるため、脳からの指示で発熱します。これが引きはじめの段階です。

そして発熱が功を奏して、白血球たちがウイルスを無事やっつけられたら、今度は脳が体温を平熱に戻そうとします。その段階で汗が出るのです。汗が出るのは風邪が治りかけている印でした。

つまり風邪の治療を考える場合、熱が上がっている「引きはじめ」の段階と、汗が出て熱が下がっていく「治りかけ」の段階では、取るべき対処方法が異なるのです。また同じ方法でも、その目的が違ってきます。

ここでは、わたし自身が取り入れている具体的な風邪の治療方法をお伝えしていきます。特別な薬や食材などは必要ありません。どれも簡単なものばかりですので、ぜひみなさんも試してみてください。