新型コロナウイルスの感染拡大により、日本はいま大きな社会変化が求められています。一方で忘れてはいけないのが、私たちが長きにわたり生活を営んできた、この美しい「国土」ではないでしょうか。
そこで今週も、建設省(現国土交通省)に入省後、道路局長などを務め、「道の駅」の制度化などに尽力。その後、東京大学特任教授、京都大学大学院特命教授、早稲田大学客員教授を歴任し、現在は『大石久和のラジオ国土学入問』(ニッポン放送)でパーソナリティを務める、国土学総合研究所所長で作家の大石久和さんに「国土学」の観点から、日本人が再び世界に羽ばたくための生き方と、ラジオの持つ力について解説いただきました。
コロナ禍の今こそ「国土学」に目を向けよ!
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新保 前回は、コロナショックで浮き彫りになった東京の一極集中の打破について、大石さんの提唱する「国土学」ならではの視点からお話いただきました。そこで、今回はあらためてその「国土学」について、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
大石 なかなか耳慣れない言葉かもしれませんね。「国土学」とは何かと言いますと、結局、われわれが暮らしてきた国土、あるいはユーラシアの人々が暮らしてきた国土の違い……この違いが大きいゆえに、それぞれの経験がきわめて異なっており、それがそれぞれの民族を形づくってきたわけです。これはコロナ騒動にも結び付きますが、各国の安全確保だとか危機管理観というものの違いも、国土の違いから出てきたんですね。
新保 なるほど、暮らしてきた国土の違いが今回、浮彫りになったと。
大石 つまり、朝鮮半島から中国大陸、あるいはヨーロッパに至るまでの人々が経験してきたことと、この日本で経験してきたことは大きく違うんです。例えばコロナ対策でもその違いに着目し認識をしておかないと、悩まなくてもいいのに悩んだり、嘆いたりしてしまうこともあるんですね。
新保 国土の違いが、経験の違いに結びつくわけですね。
大石 そうです。したがって、国土の成り立ちと、国土の上での経験の違い。これに着目する人が少ないのはむしろ不思議な感じがするのですが、そこで「国土学」と言わせていただいているんです。今、新保さんとご一緒している番組『大石久和のラジオ国土学入門』(ニッポン放送月曜18:40〜)でも、インフラというところで話を止めるのではなくて、「歴史、経験、経済、民族、地理学にも目を向けよう」と何度もお話ししていますよね。なぜなら「国土学」が、われわれの全てを規定しているからなんです。
新保 共演させていただいている『大石久和のラジオ国土学入門』では、冒頭でかならず「国土に働きかけなければ、国土からの恩恵は得られない」という言葉をお伝えしています。あらためて「ポストコロナ」「ウィズコロナ」という時代を生きる私たちが、どういうふうに適切にお金を使い、どういうふうに国土のことを考えて、後世にこの日本を残していくのかという部分は、非常に大きなテーマだと感じています。