コロナがもたらす「日本変革」のチャンス
大石 そうですね。前回詳しくお話ししましたが、1995年に財政危機宣言が出て以来、政治が財政再建至上主義に主導されて、この平成、令和の時代まで来てしまいました。その結果、国民の家計所得が650万円から550万円に下がりましたし、日本の世界の経済的地位も、なんと世界の18%近く日本のGDPが占めていたのが、今は6%しかないような時代になったんですね。つまり、世界から見ると日本は極めて小さな国に見えてしまうんです。そういう国になってしまったんですね。
新保 なかなか胸の痛い数字が並びますね……。
大石 ただし、これは日本人がそれだけの期間に実力をなくしたとか、愚かになったとか、あるいは人間性を失ったからというわけではないんです。相変わらず日本人は勤勉ですし、努力家でもあります。ただ、その力を引き出すことに失敗してきたわけなんです。ここが反省点なんですね。いま、コロナが「日本人よ、ぼちぼち目を覚ませ」と言ってくれていると、そのようにすら私には思えるんです。
新保 本当に、おっしゃる通りですね。あらためて今日、大石さんのお話を伺いながら、明るい未来をつくっていきたいと思いました。よろしければ、いまこちらを読んでくださっている方々、またラジオのリスナーの皆さんへのメッセージをいただけますでしょうか。
大石 記事を読んでくださり、ラジオを聴いてくださり、ありがとうございます。大変な惨禍をわれわれは世界の人たちと共に経験しています。しかし、世界もコロナでいろいろ大きく変わることだと思います。日本もこの災難を乗り越えて、新しい私たち、新しいわれわれの暮らしぶり、“新しいわれわれの国土づくり”、こういう方向をぜひ目指したいですね。
新保 心から、そのように思います。
大石 結果として、新しい私たち、新しい国土をつくることで、コロナからの経済的ショックを癒やすことにもつながると思います。もう一度、日本人が財政再建至上主義などを捨て去って自信を持って世界に羽ばたける、そういう国民になりたい――本当に心底そう思います。このコロナがその機会を私たちに与えてくれたんだと、前向きに捉えたいというのが私の気持ちです。